チョンリマ(読み)ちょんりま

改訂新版 世界大百科事典 「チョンリマ」の意味・わかりやすい解説

チョンリマ (千里馬)
Ch`ǒllima

朝鮮の伝説で一日に千里を走るという名馬をいうが,朝鮮戦争(1950-53)後の朝鮮民主主義人民共和国では制度改革と社会主義建設の速さと,それを支える人民の革命的気風を象徴する語として盛んに用いられている。天を駆ける巨大な銅像も立てられた。朝鮮戦争による破壊から立ち直り,植民地時代に立ち遅れさせられた生産力を急速に現代的水準に引き上げるために,〈千里馬の気風〉が必要であるとされた。とくに1956年の朝鮮労働党中央委員会12月総会以後,社会主義的競争運動としての〈千里馬運動〉が全国的に展開され,技術神秘主義(技術を神秘化する思想)を克服する積極性と創意性によって成果をあげた労働者,農民等には,〈千里馬騎手〉の称号が与えられた。現場からの提唱によって59年から,従来の個人単位ではなく集団を単位とする〈千里馬作業班運動〉に発展し,60年以後〈青山里方法〉(1960年,平安南道江西郡の青山里協同農場における金日成の現地指導に端を発する)として導入された作業班優待制・報賞制とも結びついて集団的革新の作風確立の契機となっている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョンリマ」の意味・わかりやすい解説

チョンリマ
ちょんりま / 千里馬

両翼をもち1日に1000里を天かけたといわれる朝鮮の伝説上の竜馬北朝鮮では1956年末から「チョンリマの速さで」を合いことばに生産革新と勤労者思想改造とを結び付けて推進する増産運動がおこされ、これをチョンリマ運動と名づけた。集団単位で成果を競い合うチョンリマ作業班運動も組織された。チョンリマ運動は70年のなかばまで継続されて経済発展に寄与した。

[川越敬三]

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