チュンチョンナム(忠清南)道(読み)チュンチョンナム(英語表記)Ch'ungch'ǒng nam

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

チュンチョンナム(忠清南)〔道〕
チュンチョンナム
Ch'ungch'ǒng nam

韓国の中央西部にある1級行政区。道庁所在地はテジョン (大田) 市。行政区域は5市 15郡。中央は丘陵性のチャリョン (車嶺) 山脈が占めるが,大部分は老年期地形の準平原で,標高 100m前後と,韓国で最も低い地域である。北部はサプキョ (挿橋) 川などの小河川の流域,南部はクム (錦) 江の流域である。サプキョ川の下流にはイエサン (礼山) 郡,タンジン (唐津) 郡にわたるホソ (湖西) 平野,クム江の下流にはホナム (湖南) 平野の北部にあたるネポ (内浦) 平野があって,いずれも重要な農業地帯。主作物は米,オオムギ,ダイズ,サツマイモ。大消費地のキョンイン (京仁) 地方に近いので,リンゴ,モモ,ナシ,ブドウの果樹作も盛ん。タバコ栽培,養蚕酪農も行われる。沿岸は好漁場で,北西部にあるテアン (泰安) 半島の南岸は韓国最大の天日製塩地である。タングステン,金,石炭の鉱山がある。工業はテジョン市が中部地方の三大工業地域の一つであるほか,チョナン (天安) 市に農機具などの工場がある。コンジュ (公州) 市は伝統的な織物の産地。クム江の河口にあるチャンハン (長項) 邑は道で唯一の貿易港で,金の精錬所がある。クム江流域は百済の中心をなした地域で,国都であったコンジュ市とプヨ (扶余) 邑の一帯には遺跡が多い。観光地としてはケリョン (鶏竜) 山国立公園をはじめとして,オニャン (温陽) 温泉,ユソン (儒城) 温泉,マルリ (万里) 浦とテチョン (大川) の海水浴場などがある。面積 8704km2。人口 202万 7766 (1990推計) 。

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