チャモロ族(読み)チャモロぞく(英語表記)Chamorro

精選版 日本国語大辞典 「チャモロ族」の意味・読み・例文・類語

チャモロ‐ぞく【チャモロ族】

〘名〙 (チャモロはChamorros) ミクロネシアマリアナ諸島先住民。ポリネシア系。皮膚の色は淡褐色頭髪波状毛。一六六八年スペイン占領以後スペイン人、メキシコ人、フィリピン人との混血が多くなり、旧態はほとんどみられない。

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改訂新版 世界大百科事典 「チャモロ族」の意味・わかりやすい解説

チャモロ族 (チャモロぞく)
Chamorro

西太平洋,ミクロネシアのマリアナ諸島の原住民。17世紀にチャモロに殺されたイエズス会の宣教師サンビトレスは,当時のチャモロについて,体格がよく健康そうで長命の者が多いと述べている。スペイン人と接触以前のチャモロ人口は4万とも6万とも推定されている。しかしたび重なる台風や統治の必要上から行われたグアム島の特定地域への強制移住,疫病の流行,カロリン諸島への移動などの結果,最初の人口調査が行われた1710年には3539人にまで減少した。そのためスペイン政府はメキシコ人,フィリピン人労働者を積極的にグアムに導入した。彼らとチャモロ女性との間に多くの混血が生まれ,現在では純粋チャモロは存在しないといわれる。古いチャモロの社会は貴族,平民,奴隷の3階層から成り,地縁化した母系血縁集団が社会の中核であった。今日のチャモロは西欧化が進み,ほぼ全員がカトリック信者である。チャモロ語は今なお広く使われている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チャモロ族」の意味・わかりやすい解説

チャモロ族
チャモロぞく
Chamorro

ミクロネシアのマリアナ諸島の住民をさす俗称。言語オーストロネシア語族インドネシア語派に属する。元来は,西カロリン諸島民に近い人々であったと考えられるが,古くよりスペイン人およびフィリピン人との混血が進み,純血の者はもはや今日ではほとんど存在しない。早くからカトリック化され,さらに 18世紀の著しい人口減少の結果,固有の宗教,社会組織はまったく破壊され,風俗,習慣も西欧化するにいたった。かつては3段階から成る社会階層と母系氏族組織をもっており,むしろの三角帆を張ったアウトリガー付きのマタという舟をあやつっていたといわれる。ラッテと呼ばれる列柱状の巨石遺跡が有名である。

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世界大百科事典(旧版)内のチャモロ族の言及

【インドネシア語派】より

…インドネシアを中心に,北は台湾から南はロティ島,西はマダガスカル島から東は西イリアンの中央付近までに分布する諸言語の総称だが,東部語派との境界がどこにあるかは,調査不十分な言語も多いためまだ明らかでない。ミクロネシア諸語のうちチャモロ語Chamorro(サイパン島,グアム島)とパラウ語Palauan(パラウ島)はこの語派に属する。また,ベトナムやカンボジアのチャム語Chamやラデー語Radeなどは,アウストロアジア語族の影響を受けてはいるが,やはりアウストロネシア語族のうちのこの語派に属する。…

【サイパン[島]】より

…1565年レガスピが上陸し,この付近の島々を正式にスペイン領とする旨を宣した。古くはグアムと同様多くのチャモロ族が住んでいたが,カトリックの強制的布教に反抗して1670年布教師を殺害し,スペイン政府によってグアムに強制移住させられ,98年以降無住の地となった。その後カロリン諸島から幾度か移住が試みられ,1815年には台風によって住居を失ったトラック諸島民200人が集団移住したことが知られている。…

【マリアナ[諸島]】より

…すべて安山岩質の火山島で,北部の島は現在も活動中である。住民は大部分がチャモロ族で,チャモロ語を話す。長期にわたる外国支配の結果,混血が進み,純血のチャモロ族はもはや存在しないといわれる。…

※「チャモロ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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