チャッキラコ(読み)ちゃっきらこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャッキラコ」の意味・わかりやすい解説

チャッキラコ
ちゃっきらこ

神奈川県の海南神社(三浦市三崎)の1月15日の祭りに踊られる小歌踊(こうたおどり)。花暮(はなぐれ)と仲崎(なかさき)地区の5歳から12歳ぐらいまでの少女約20名で踊るが、歌は大人の女性たち約10名が受け持つ。伝承曲目は『ハツイセ』『チャッキラコ』『二本踊』『よささ節』『鎌倉節』『お伊勢(いせ)参り』の6曲。2本のこきりこ(綾竹(あやたけ))をチャッ・キラ・コと打ちながら踊るところから出た名称という。ほかの曲は無伴奏。『お伊勢参り』は柄杓(ひしゃく)を持って踊り、伊勢参宮の風俗を写したものと思われる。そのほかは扇踊形式。阿国歌舞伎(おくにかぶき)の前身ややこ踊」との関連が考えられるが不詳。明治末ごろから白拍子(しらびょうし)風の扮装(ふんそう)になったが、今日では昔に戻して晴れ着で踊る。国の重要無形民俗文化財(1976)に指定された。

[西角井正大]

 2009年(平成21)ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に「チャッキラコ」として単独で登録されたが、2022年(令和4)これに40件の踊りを加えた41件で拡張登録されることとなった。登録名称も「風流踊(ふりゅうおどり)」に変更され、現在はそのなかの1件となっている。

[編集部 2024年2月16日]


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改訂新版 世界大百科事典 「チャッキラコ」の意味・わかりやすい解説

チャッキラコ (ちゃっきらこ)

神奈川県三浦市三崎町で,漁港の総鎮守海南神社の1月15日の祭りに,少女が踊る踊りの総称とその演目の名称。〈チャッキラコ〉は,2本の小切子(こきりこ)(綾竹)を打ち合わせる音から転訛した名称で,〈左義長(さぎちよう)の舞〉〈ひやり踊〉〈よささ〉などとも称した。本来,正月の晴着で,中年以上の女性の歌にあわせて踊るものであったが,千早(ちはや)に緋の袴,金色の前折烏帽子の仕度で踊ったこともある。《ハツイセ》《チャッキラコ》《二本踊》《よささ節》《鎌倉節》《お伊勢参り》の6曲あるが,《チャッキラコ》以外は扇を持ち,2列に向かい合って立ったり,円陣をつくって踊る。
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事典 日本の地域遺産 「チャッキラコ」の解説

チャッキラコ

(神奈川県三浦市三崎)
無形文化遺産」指定の地域遺産。
左義長(さぎちょう)の舞」「初瀬踊」ともいわれる小正月の芸能。三崎の仲崎(なかざき)と花暮(はなぐれ)地区に伝承されており、1月15日に三崎の海南神社で一踊りしたあと、町内の家々をめぐって踊られる。重要無形民俗文化財(民俗芸能:風流)

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報

デジタル大辞泉プラス 「チャッキラコ」の解説

チャッキラコ

神奈川県三浦市三崎に伝わる民俗芸能。小正月の1月15日に海南神社でまず披露されたのち、町内の家々を巡り披露される。「チャッキラコ」は踊り手の少女たちが手にもつ綾竹のこと。「左義長の舞」「初瀬踊」ともいう。1976年、国の重要無形民俗文化財に指定。2009年、ユネスコの無形文化遺産に登録。

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