チボー(Anton Friedrich Justus Thibaut)(読み)ちぼー(英語表記)Anton Friedrich Justus Thibaut

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

チボー(Anton Friedrich Justus Thibaut)
ちぼー
Anton Friedrich Justus Thibaut
(1772―1840)

ドイツ法学者。ゲーテやシラーとも交友があった。1802年イエナ大学、1806年以降ハイデルベルク大学のローマ法教授。自然法学の理性的合理主義歴史法学の保守的経験主義に反対した。ナポレオンがドイツから駆逐された1814年、民族統一運動の高揚とともに『統一的ドイツ一般民法典の必要性について』を発表して、フランス民法典を範とした法典編纂(へんさん)により、各地方ごとに分裂した法を統一し、国民的統合を図るべきだと主張した。これに対し歴史法学派サビニーが時期尚早を唱え、有名な法典論争が展開されたが、チボーはサビニーの革命への恐怖心を見抜いていた。チボーの提案が国家によって実現されたのは、ようやく19世紀後半になってからであった。

[佐藤篤士]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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