チプラス(英語表記)Tsipras, Alexis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チプラス」の意味・わかりやすい解説

チプラス
Tsipras, Alexis

[生]1974.7.28. アテネ
ギリシアの政治家。首相(在任 2015~19)。アテネで建築会社を営む中流家庭に育った。10代でギリシア共産党青年部に加わり,アテネ工科大学在学中も左翼活動を続けた。ギリシア共産党から分離した政党,左翼・環境運動連合 SYNASPISMOSの中央委員会や青年組織の中心人物として活躍。2004年,SYNASPISMOSが複数の小規模左翼政党と統合し急進左翼連合 SYRIZAとなると,2008年,34歳で SYRIZAの党首となった。2009年国会議員に初当選。2009年秋,ギリシアの財政危機を発端としてユーロ危機が引き起こされ,ギリシアはヨーロッパ連合 EU,ヨーロッパ中央銀行 ECB国際通貨基金 IMFの三者,通称トロイカ」から資金援助を受ける見返りに,財政緊縮策を課せられた。SYRIZAは財政危機を招いた二大政党を批判し,緊縮策に反対,ポピュリスト的公約を掲げることで国民の支持を広げ,2015年1月の総選挙で勝利した。首相に就任したチプラスは,緊縮策を撤回して現状に見合った条件での財政支援をトロイカと交渉したが,交渉は難航し,最終的にはトロイカの要求に屈した。チプラスの方針転換は党内からも批判され,首相辞任を表明したが,2015年9月の総選挙で再び勝利し,首相の座にとどまった。ギリシアは 2018年に総額 3300億ドル以上に及ぶ財政支援から脱却したものの,チプラス政権下での国内総生産 GDPは,経済危機以前に比べて約 4分の3の規模に縮小した。緊縮策への反発などから 2019年7月の総選挙で敗北し,退陣に追い込まれた。

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