精選版 日本国語大辞典 「チオ硫酸」の意味・読み・例文・類語
チオ‐りゅうさん ‥リウサン【チオ硫酸】
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化学式H2S2O3。遊離酸は室温で不安定であり,水溶液としても得られていない。-78℃のジエチルエーテル中で液体硫化水素H2Sと三酸化硫黄SO3を反応させ,-30℃で減圧蒸留して溶媒を除去することによりエーテル化物としてとり出されている。
SO3+H2S─→H2S2O3
一般式MI2S2O3で示されるチオ硫酸塩thiosulfateは亜硫酸塩MI2SO3水溶液と硫黄を加熱して反応させると生成する。安定であり多くの塩が知られている。一般に無色の結晶。水に溶けやすいものが多いが,Ag⁺,Tl⁺,Ba2⁺,Pb2⁺の塩は難溶性である。NH4⁺,Ag⁺,Pb2⁺の塩は無水和物であるが,他の塩は結晶水をもっている。チオ硫酸イオンは硫酸イオンSO42⁻の酸素原子の1個を硫黄原子で置き換えたものに相当し,2個の硫黄原子のうち1個は中心に,他の1個の硫黄原子と3個の酸素原子は四面体の頂点に位置する。その結合間隔は,S-S:1.99±0.03Å,S-0:1.48±0.06Åである。水溶液に酸を加えると硫黄を遊離して分解する。
執筆者:漆山 秋雄
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