チェースマンハッタンコーポレーション(英語表記)Chase Manhattan Corp.

改訂新版 世界大百科事典 の解説

チェース・マンハッタン・コーポレーション
Chase Manhattan Corp.

バンク・オブ・アメリカ,シティバンクと並ぶアメリカの商業銀行チェースマンハッタン銀行Chase Manhattan Bankの持株会社で,1969年に設立された。本社ニューヨーク。チェース・マンハッタン銀行は1955年,ロックフェラー財閥系のチェース・ナショナル銀行Chase National Bank of the City of New York(1877設立)と,19世紀半ばから証券投資で名をはせたクーン=ローブ財閥系のマンハッタン銀行Bank of the Manhattan Co.(1799設立)の合併により生まれた。前身のチェース・ナショナル銀行は1930年以降ロックフェラー傘下の銀行として石油,鉄道,鉱山精糖電機,石炭事業等で力を振るい,これが石油,エネルギー分野に強い同行の伝統の下地となっている。またマンハッタン銀行はニューヨーク州の古い銀行で,同州の州債業務で有名であった。合併後のチェース・マンハッタン銀行は前会長ロックフェラーDavid Rockefeller(1915- )時代から外国為替業務にも取り組み,特色ある分野となっている。100以上の海外支店に加え外国銀行とのコルレス関係は幅広く,アメリカの銀行のなかでも最大級であり,同行の多面にわたる国際取引の基礎となっている。またコルレス先との大量の取引のためのエレクトロ・バンキング化が早くから進んだことも注目される。証券業務分野の活動も古く,チェース証券会社Chase Securities Corp.(チェース・ナショナル銀行の子会社)を傘下に収めて以来活発な取引を行っており,ロンドン香港など海外にも拠点を設けている。幅広い業務展開を進める一方で,途上国累積債務問題などを背景として資産のいたずらな拡大よりもその質を重視した経営に転換しつつある。1996年,全米で総資産4位の銀行持株会社ケミカル・バンキング・コーポレーションChemical Banking Corp.と合併,アメリカの巨大銀行合併の先駆をなした。2000年12月J.P.モルガンと合併,J.P.モルガン・チェースJ.P.Morgan Chase & Co.となった。同社の総資産1兆1572億ドル,預金残高5215億ドル(2004年12月)。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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