チェンマイ・イニシアチブ(読み)ちぇんまいいにしあちぶ(英語表記)Chiang Mai Initiative(CMI)

知恵蔵 の解説

チェンマイ・イニシアチブ

2000年5月にタイのチェンマイにおいて開催されたASEAN(東南アジア諸国連合)+日中韓蔵相会議で成立した、東アジアにおける経済危機発生時の自助・支援のための地域金融協力への合意。内容は、(1)域内の資本フローに関するデータ及び情報の交換をASEAN+3(日本、中国、韓国)の枠組みで促進する、(2)ASEAN5カ国(インドネシアシンガポール、タイ、フィリピンマレーシア)間に既に存在するASEANスワップ協定を全ASEAN加盟国を含み得るよう拡大する、(3)流動性供給のため、域内二国間のスワップ及びレポ取極のネットワークを締結する、からなる。(2)については同年11月に総額10億ドルで実現し、また(3)については日本は、韓国、マレーシア、タイをはじめ7カ国の間でスワップ取極を締結してきた。06年5月4日現在ではネットワークの総額は750億米ドル相当で16件の二国間協定が結ばれている。05年5月のASEAN+3財務大臣会合では「その有効性を強化する方策を検討するために」見直しを行い、また、(1)チェンマイ・イニシアチブの枠組みへの域内経済サーベイランスの統合と強化、(2)スワップ発動プロセスの明確化と集団的意思決定メカニズムの確立、(3)スワップ規模の大幅な拡大、(4)スワップ引出しメカニズムの改善を行うことで合意している。チェンマイ・イニシアチブは、IMFを中心とする既存の国際的支援制度を補完する地域的な枠組みとしての地位を着実に固めている。

(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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