日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダイセツタカネヒカゲ」の意味・わかりやすい解説
ダイセツタカネヒカゲ
だいせつたかねひかげ / 大雪高嶺日陰蝶
[学] Oeneis melissa
昆虫綱鱗翅(りんし)目ジャノメチョウ科に属するチョウ。日本では北海道の特産種で、大雪(たいせつ)山系、音更(おとふけ)山、十勝(とかち)ニペソツ山、戸蔦別(とつたべつ)岳、幌尻(ほろしり)岳の高標高地に産し、北海道の高山チョウの1種として知られ、国の天然記念物に指定されている。国外ではカムチャツカ、北アメリカ大陸(アラスカよりラブラドルに至る)に分布する。はねの開張47ミリメートル内外。本州の高山チョウであるタカネヒカゲに似ているが、雄の翅表に発香鱗(りん)がない。出現期は7~8月、高山の岩礫(がんれき)地に発生し、タカネオミナエシ、イワウメ、キバナシャクナゲ、チングルマ、イワツメクサなどの花に吸蜜(きゅうみつ)にくる。幼虫の食草はダイセツイワスゲ、ミヤマクロスゲなどのカヤツリグサ科植物である。タカネヒカゲと同じく幼虫態で2回の冬を越し、1世代の完了に足掛け3年(満2年)かかるものと推定されている。
[白水 隆]