ダイアスポア(読み)だいあすぽあ(英語表記)diaspore

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダイアスポア」の意味・わかりやすい解説

ダイアスポア
だいあすぽあ
diaspore

アルミニウム鉱石鉱物の一つ。ジアスポルともいう。ベーム石同質異像関係にある。熱水変質起源の粘土鉱床、再結晶石灰岩緑色片岩エメリー中などに産し、また超塩基性岩中に脈をなすほか、ボーキサイトの主成分をなす。自形は柱面と錐(すい)面とからなる斜方短柱状、あるいはb軸に扁平(へんぺい)な板状をなす。日本では多く粘土鉱床中に産し、葉ろう石カオリナイトコランダムなどと産する。岡山県備前市三石(みついし)、広島県庄原(しょうばら)市勝光山(しょうこうざん)などは有名な産地である。英名はギリシア語の散乱を意味し、加熱によって結晶が飛散することに由来する。

加藤 昭]

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改訂新版 世界大百科事典 「ダイアスポア」の意味・わかりやすい解説

ダイアスポア
diaspore

含水アルミニウム鉱物の一種化学組成AlOOH)またはAl2O3・H2O。斜方晶系に属し,短柱状,柱状結晶,ときに粒状結晶集合体となる。へき開は{010}に完全,{110}に良。比重3.3~3.5,モース硬度6.5~7。白,灰,淡褐色。ベーマイトboemiteと同質多形の関係であり,300~400℃に加熱すると脱水してコランダムに変化する。蠟石鉱床のやや高温帯に産出するほか,ギブサイトgibbsiteなどと伴ってボーキサイトの主要構成鉱物となる。蠟石鉱床より産出する例としては岡山県三石地区,広島県庄原市勝光山地区,長崎県五島列島の福江島などがあげられる。高級耐火物原材として利用される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダイアスポア」の意味・わかりやすい解説

ダイアスポア
diaspore

AlO(OH) 。斜方晶系,ベーム石族の鉱物。ジアスポアともいう。結晶は薄い板状で葉片状,葉片の集塊として産する。硬度 6.5~7,比重 3.35~3.45。ガラス光沢に富み,色は白または灰白色。ドロマイト,緑泥石片岩などから鋼玉とともに出る。耐火煉瓦などに使用される。

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