タークイブスターン(英語表記)Taq-i-Bustan

デジタル大辞泉 「タークイブスターン」の意味・読み・例文・類語

ターク‐イ‐ブスターン(Taq-i-Bustan)

イラン西部の都市ケルマーンシャー北郊にあるササン朝ペルシア時代の遺跡ペルシア語で「楽園アーチ」を意味し、池に面する岩山の崖に大小二つの石窟がある。大石窟は6世紀後半から7世紀前半にかけて造られたもので、ホスロー2世や天使の浮き彫りが施されている。小石窟は4世紀のものとされ、ローマ帝国に勝利したアルダシール2世の叙任式の様子が描かれている。ターゲボスターンターケブスタン

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改訂新版 世界大百科事典 「タークイブスターン」の意味・わかりやすい解説

ターク・イ・ブスターン
Tāq-i Bustān

イラン北西部,ケルマーンシャーの北東約12kmにあるササン朝中・後期の磨崖浮彫遺跡。ターケ・ボスターンTāq-e Bostānともいう。地名は〈庭園のアーチ〉の意。中期のものに,アルダシール2世(在位379-383)がアフラ・マズダと太陽神ミトラから王権を授与されている場面を浮彫したいわゆる〈王権神授図〉,イーワーン形の小洞内にシャープール2世(在位309-379)とシャープール3世(在位383-388)を浮彫した記念碑がある。後期のものには,ホスロー2世(在位590-628)ないしそれ以後の国王によって制作されたイーワーン形大洞があり,正面壁にはジッグラト形矢狭間,1対のニケ女神(飛天),聖樹が浅浮彫されている。洞内の奥壁は2段に区切られ,上段帝王叙任式図(アフラ・マズダとアナーヒター女神),下段に帝王重装騎馬像が丸彫のように作られている。左右の壁面には,帝王の猪狩図と鹿狩図が浅浮彫される。主題上三つに分類されるこれらの彫刻は,帝王の3職能(戦士,神官農耕牧畜民の代表・保護者)を図示したものである。
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世界大百科事典(旧版)内のタークイブスターンの言及

【ササン朝美術】より


【彫刻】
 彫刻を代表するものは磨崖浮彫で,現在30余点が知られている。その大部分はササン朝の発祥地ファールス地方に残り,その他の例はクルディスターン地方のターク・イ・ブスターン,アゼルバイジャン地方のサルマースにあるだけである。年代もターク・イ・ブスターン以外はすべて4世紀前半までのものである。…

※「タークイブスターン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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