タルレ(英語表記)Evgenii Viktorovich Tarle

改訂新版 世界大百科事典 「タルレ」の意味・わかりやすい解説

タルレ
Evgenii Viktorovich Tarle
生没年:1875-1955

ソ連邦の歴史家。キエフ大学卒。ユリエフ(現,タルトゥ),レニングラード(現,サンクト・ペテルブルグ),モスクワ大学等の教授歴任。《ピエトロ・ポンポナッツィとその学説》(1899)を世に問うて以来,イタリア,フランス,イギリス,ロシア等の歴史および国際関係史,伝記等を次々と発表。しだいにマルクス主義的色彩を強くした。《ナポレオン》(1936),《タレイラン》(1939),《ナポレオンのロシア侵入》(1937)などは名著の誉れ高く,西欧語に翻訳されているものもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タルレ」の意味・わかりやすい解説

タルレ
Tarle, Evgenii Viktorovich

[生]1875.11.8. キエフ
[没]1955.1.5. モスクワ
ソ連の歴史家。ユーリエフ大学,ペテルブルグ大学,モスクワ大学の各教授を歴任,早くからフランス革命期および第一帝政期の社会経済史家として知られる。博士論文は『フランス革命期における労働者階級』 Classe ouvrière en France à l'époque de la Révolution (2巻,1909~11) 。その後,機械制生産の初期の労働者階級を研究したが,『ナポレオン』 Napoléon (36) と『ジェルミナールとプレリアール』 Germinal et Prairial (37) を出版したあとは,ロシア史の研究に没頭した。スターリン賞を3度受賞。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タルレ」の意味・わかりやすい解説

タルレ
たるれ
Евгений Викторович Тарле/Evgeniy Viktorovich Tarle
(1875―1955)

ソ連の歴史家。キエフ(キーウ)大学を卒業し、1917年ペトログラード大学(のちレニングラード大学)の教授に就任。レニングラード大学、モスクワ大学の教授を歴任した。フランス近代史、国際政治史、革命前のロシアの外交史を研究し、『革命時代のフランスの労働者階級』(2巻、1909~1911)、『クリミア戦争』(2巻、1941~1943)などを著した。1930年代に一時学界から退けられていたが、まもなく復帰し、『ナポレオンのロシア侵入』(1937)、『ナヒーモフ』(1940)など愛国的色彩の濃い著作を発表し、スターリン賞を三度受けた。1957年から1962年にかけて、12巻の著作集が出版された。

[外川継男]

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