日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
タフト(William Howard Taft)
たふと
William Howard Taft
(1857―1930)
アメリカ合衆国第27代大統領(在任1909~13)。著名な法律家を父に、オハイオ州に生まれる。19世紀末から、巡回裁判所判事(1892~1900)、フィリピン植民地総督(1900~04)など、連邦政府の司法と行政にかかわる多くの官職を歴任、保守的であるとともに誠実な法律家、有能な行政官として知られた。その後、T・ルーズベルト政権の陸軍長官(1904~08)に登用され、1908年、彼の後継者として共和党より大統領に当選した。大統領在職中、独占規制、自然保護、郵便貯蓄制度の成立などに業績をあげ、連邦所得税を定めた憲法修正16条の成立などに努力したが、12年の選挙では、共和党の分裂のため敗れた。その後、エール大学教授(1913~21)、晩年に最高裁長官(1921~30)を務めた。彼の大統領期は、またアメリカの対外進出期にあたり、その外交政策は、対外投資の拡大を推進する「ドル外交」として知られた。
[紀平英作]
[参照項目] |