タデ(蓼)(読み)タデ(英語表記)Persicaria; knotweed

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タデ(蓼)」の意味・わかりやすい解説

タデ(蓼)
タデ
Persicaria; knotweed

タデ科一年草で,穂状の花序をつけるものの総称。多数の種類がある。茎は直立または斜上し,分枝する。葉は互生し,節部に葉鞘と呼ばれる鞘状の托葉がある。サナエタデ (早苗蓼)ハルタデ (春蓼)などは春開花するが多くは夏から秋に咲く。枝先に穂状花序を出した小花を密につける。普通,萼片が白色または淡紅色となり,花弁を欠く。果実は痩果で堅く,宿存萼に包まれる。ヤナギタデ P. hydropiperは単にタデまたはホンタデなどと呼ばれ,水辺に生え特有な辛みがあり,刺身つまなどに用いられる。イヌタデ (犬蓼)路傍に最も多くみられ,通常アカノマンマの名で親しまれている。若葉はゆでて食べられる。サクラタデ (桜蓼)は水辺に生え花は最も美しい。オオケタデ Amblygonon orientaleは中国原産で花が大きく美しいので栽培されたが,いまは各地で野生化している。なお,ミチヤナギPolygonumやイブキトラノオ属 Bistortaを含めて広義のタデ属 Polygonum sens. lat.とすることもある。

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百科事典マイペディア 「タデ(蓼)」の意味・わかりやすい解説

タデ(蓼)【タデ】

ヤナギタデ,マタデ,ホンタデとも。日本全土,北半球の温〜暖帯に分布するタデ科の一年草。高さ40〜80cm,葉は互生し,披針形〜長卵形でヤナギの葉に似る。夏〜秋,細長い花穂を出し,まばらに赤みを帯びた小さな花をつける。全草に特有のかおりと辛みがある。アオタデ,ベニタデなどの栽培変種があり,アオタデは葉を細かく切るか,すりつぶして酢であえ,タデ酢としてアユ料理に,また,炒(い)って汁の実などとし,ベニタデの芽は刺身のつまとする。なお,広義にはタデ科タデ属の総称でもある。

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