タッシリナジェール(英語表記)Tassili n'Ajjer

デジタル大辞泉 「タッシリナジェール」の意味・読み・例文・類語

タッシリ‐ナジェール(Tassili n'Ajjer)

アルジェリア南東部、リビアとの国境付近のサハラ砂漠中央部にある岩山山地。およそ8000年から2000年前に描かれた岩絵多く残る。1982年、世界遺産自然遺産文化遺産)に登録された。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「タッシリナジェール」の意味・わかりやすい解説

タッシリ・ナジェール
Tassili n'Ajjer

アフリカ北部,アルジェリア東部の長大な山脈。長さ800km,幅50~60km,標高は平均千数百mで,最高峰は2335m。トゥアレグ語で〈水流の多い台地〉の意。現在は完全に乾ききった険しい山塊で,数万点の先史時代の岩面画が遺存する。おもな遺跡はセファールSefar,タン・ズマイタクTan Zoumaïtak,ティン・アボテカTin Abotéka,タムリットTamrit,ウエッド・ジェラートOued Djérat,ジャバレンJabbaren,イン・アウアンラートIn Aouanrhatなどである。1909年にフランスのコルティエCortier大尉によってウエッド・アズフ・メレンOued Asouf Mellenで最初の発見がなされ,その後33年にフランスのブルナンM.Brenans中尉が,56年にロートH.Lhoteが重要な発見をおこなった。

 岩面画はサハラがまだ湿潤であった時代のもので,最古の刻画は中石器時代にさかのぼり,紀元ごろまで数千年間にわたって描き,刻み続けられた。時代の経過にともなって主題や様式は変化し,また描いた者も黒人,フルベ族トゥアレグ族と変わる。北部のウエッド・ジェラートなどに刻画があるが,大部分彩画で,羊,牛,馬,ラクダなどの動物人物とを,狩猟牧畜戦闘,舞踊,家庭生活などの場面で組み合わせた図柄が多い。(1)狩猟民の時代,(2)牛飼人の時代,(3)馬の時代,(4)ラクダの時代などに区分される。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のタッシリナジェールの言及

【ロート】より

…パリ生れ。北アフリカ,とくにサハラ砂漠地域を専門とし,1929年以降延べ10万kmを踏査し,タッシリ・ナジェール,ホガールHoggar,アドラール・デジフォラスなどで多くの遺跡を発見した。とくにタッシリ・ナジェールのセファールSefarにおける膨大な岩面画の発見が注目される。…

※「タッシリナジェール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android