タシギ(英語表記)Gallinago gallinago; snipe, common snipe

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タシギ」の意味・わかりやすい解説

タシギ
Gallinago gallinago; snipe, common snipe

チドリ目シギ科全長 23~28cm。羽色は黒とクリーム色の斑が入り交じり,地面に伏せて動かずにいると発見しにくい。過眼線が淡褐色で後頭まで続き,過眼線の上下はずっと薄く白に近い。はまっすぐで長い。雌雄同色であるが,雄のほうが雌より嘴が短く,外側尾羽が長い。アイスランドイギリスからユーラシア大陸中部,北部カムチャツカ半島に及ぶ地域で繁殖し,アフリカ中部,北部からインドを経て東アジア南部,フィリピンボルネオ島北部で越冬する。日本には旅鳥または冬鳥(→渡り鳥)として渡来し,水田湿地などに生息する。飛び方はジグザグ状だが速度は速く,飛び立つときに「じぇっ」というしゃがれた声で鳴く。(→渉禽類

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改訂新版 世界大百科事典 「タシギ」の意味・わかりやすい解説

タシギ (田鷸)
common snipe
Gallinago gallinago

チドリ目シギ科の鳥。全長約27cm。まっすぐで長いくちばしをもった中型のシギ。ユーラシア大陸北部,ヒマラヤ,北アメリカ北部および南アメリカ大陸の大部分で繁殖し,冬は暖かい地方へ移動する。日本には旅鳥または冬鳥として渡来し,数が多い。体の上面は灰褐色の地に黒い複雑な斑紋があり,頭部と背にクリーム色の太い縦の線があって目だつ。尾の先は橙褐色,胸とわきは淡黄褐色で胸には黒い縦斑,わきには横斑があり,腹は白い。8月下旬から9月ころ渡来し,水田,蓮田,湿地,川岸などに好んですむ。このためタシギの名がある。昼間は枯草の中や切株のそばに潜み,夕方から活動して餌をあさる。浅水や土の中にくちばしを垂直にさしこんで昆虫ミミズをとる。飛び立つときにジェッとしゃがれ声で鳴く。狩猟鳥として年間6万~9万羽も捕獲されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タシギ」の意味・わかりやすい解説

タシギ
たしぎ / 田鷸
田鴫
common snipe
[学] Gallinago gallinago

鳥綱チドリ目シギ科の鳥。ユーラシアの中部以北、アフリカ南部、北アメリカの中部以北、南アメリカで繁殖し、冬は暖地へ渡る。日本には冬鳥または旅鳥として秋および春に多数渡来する。全長約27センチメートル、嘴(くちばし)はまっすぐで長い。体の上面にはクリーム色、黒色、褐色が入り混じった複雑な斑紋(はんもん)があるので、地面にじっと伏せていると保護色としての効果がある。水田、ハス田、川の浅瀬などにすみ、日中は水たまりや切り株のそばで休んでいて、夕方から活動を始める。餌(えさ)はミミズや昆虫である。ジェッと鳴いて飛び立つ。狩猟鳥として毎年15万~20万羽捕獲される。

高野伸二


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百科事典マイペディア 「タシギ」の意味・わかりやすい解説

タシギ

シギ科の鳥。翼長13.5cm。後頸,背は黒褐色と黄褐色の斑。ユーラシア・北米中北部等で繁殖する。日本には旅鳥または冬鳥として渡来し,水田や湿地,川や沼などの水辺にすむ。人が近づくとジャッと鳴いて,電光形に飛び立つ。

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世界大百科事典(旧版)内のタシギの言及

【ジシギ(地鴫)】より

…チュウジシギG.megala(英名Swinhoe’s snipe)は中部シベリアで繁殖し,日本には旅鳥として渡来し,水田や湿地にいる。 なお,タシギ属の総称として使われることもある。日本で記録されたタシギ属の種には,前2種のほかにタシギG.gallinago,ハリオシギG.stenura,アオシギG.solitariaがある。…

※「タシギ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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