タウンシップ(英語表記)township

翻訳|township

デジタル大辞泉 「タウンシップ」の意味・読み・例文・類語

タウンシップ(township)

アメリカ合衆国カナダで行われた公有地を分割する土地制度。経緯線に沿って碁盤目状に分割し、6マイル平方を一単位としてタウンシップと呼称する。
南アフリカの旧アパルトヘイト政策の一環として、都市近郊に設けられた黒人専用居住区。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「タウンシップ」の意味・わかりやすい解説

タウンシップ
township

アメリカ合衆国,カナダにおける公有地分割制度およびその区画。1785年に施行されたこの制度により,ミシシッピ川上流のオハイオ川を境に北部西部では,土地局General Land Officeのもとで測量が行われ,計画的な土地区画が施された。その区画法は,ほぼ各州ごとの基準線として南北方向には約32本の主経線principal meridianを,東西方向に基線base lineを設け,それぞれ6マイル(約9655m)間隔の平行線をひく。それによりつくられる6マイル四方の区画をタウンシップと呼び,その南北列はレーンジRange,東西列はタウンシップ番号がそれぞれつけられ,各タウンシップ区画には座標に応じてコードナンバーがつけられている。各タウンシップ内はさらに1マイル四方の36セクションsectionに,1セクション(640エーカー)はさらに1/2,1/4,そのまた1/4というように細分され,各セクションにも1から36までの番号がつけられている。開拓初期には,1クオーター・セクション(160エーカー)が標準的な入植者1戸に無償で供与された。またセクション区画に沿って道路が敷かれた場合が多く,1マイル間隔の整然とした道路網と路状散村形態集落が,特徴的なアメリカ型景観をつくっている。なお,タウンシップは郡county内の行政区分の機能も果たしており,その下位行政地区(郡区と訳すことがある)でもある。タウンシップに類する方格状土地割は,古代ローマのケントゥリア,中国の井田制,日本の条里地割などが挙げられる。なかでも条里制とは,規模を別にすると,区画法,コードナンバーのふり方などほとんど同じである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タウンシップ」の意味・わかりやすい解説

タウンシップ
township

18世紀後半から 19世紀前半にかけて実施された土地測量に基づいて,アメリカのアパラチア山脈以西で施行された土地区画制度。広い地域を経緯線に沿って碁盤目状に土地割を行い,基本的には6平方マイル (15.54km2) を単位として土地を区画し,さらに1平方マイル (2.59km2) に細分して,入植者にはその4分の1ずつ (65ha) を与えた。これによって村落は均等の耕地を保有し,整然と分布する散村の形態をとったものが多い。日本では北海道開拓の屯田兵村がアメリカのタウンシップを採用した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タウンシップ」の意味・わかりやすい解説

タウンシップ
たうんしっぷ
township

アメリカ中西部の方形の土地区画システム。1862年の自作農(ホームステツド)法に基づいて公有地が分割されて、ほとんど無償で払い下げられた。東西方向のタウンシップと南北方向のレーンジrangeによって、まず6マイルごとに区画され、次に1マイルごとの方画がつくられ、それを四等分した一片、160エーカー(約65ヘクタール)が一戸分の農場として割り当てられた。プレーリー帯の肥沃(ひよく)な土壌と開拓民の努力とによって、世界有数の農業地帯として発展を遂げた。全体のシステムをタウンシップ制とよび、日本の条里制に似ているが、規模、農法、土地利用はまったく異なっている。

[木内信藏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のタウンシップの言及

【地方自治】より

…また,自治体を統轄する代表機関が立法権と執行権を統合したカウンシルであり,このカウンシルの各委員会が行政各部を指揮監督しているところに,その特徴がある。 アメリカ合衆国の地方団体にはカウンティと都市法人と呼ばれる自治体(シティ,タウン,タウンシップ)とがある。カウンティはほぼ全州の全地域にくまなく設けられており,その法的な地位は州の地方機構であるが,カウンティの役職者は早くから公選職となっており,住民自治の要素が強かった。…

※「タウンシップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android