精選版 日本国語大辞典 「タイス」の意味・読み・例文・類語
タイス
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翻訳|Thais
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古代の伝説的な女性。アテナイ出身の遊女(ヘタイラ)で,アレクサンドロス大王の寵を得,王をそそのかしてペルセポリスを炎上させた。のちエジプト,プトレマイオス朝の祖ラゴスに嫁して7人の子をもうけたという。同名の女性はキリスト教の聖人伝の中にも見いだされ,次のような話が伝えられている。すなわち彼女は,4世紀ごろのアレクサンドリアの名高い遊女であったが,隠修士パフヌティウスの導きでキリスト教徒となった。そのおり豪華な衣装や宝石類を惜し気もなく公然と焼き捨てたという。3年の修徳生活を経て,修道女となりわずか14日で没したが,聖女,悔悛者として尊崇された。祝日は10月8日。おそらくこれはヘレニズム末期に成立していたタイス伝説のキリスト教的翻案と思われる。彼女の劇的な生涯は,後世しばしば作品化され,中世ドイツの女流詩人ロスウィータの戯曲のほか,近代ではA.フランスの歴史小説《タイス》(1889)やマスネーのオペラ《タイス》(初演1894)などがよく知られている。
執筆者:荒俣 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…音楽や踊りに熟練し,文学・芸術・哲学にもしばしば精通したヘタイラとの交際は,下品なこととはみなされず,妻女が姿をみせることのない宴席では彼女たちがホステスの役をつとめた。もっとも有名なヘタイラとしては,ペリクレスの愛妾であったアスパシア,人間として完ぺきな美しさをもち彫刻家プラクシテレスのために女神アフロディテのモデルとなったフリュネ,アレクサンドロス大王をそそのかしてペルセポリスを炎上させたと伝えられるタイスなどがあげられる。売春【篠崎 三男】。…
※「タイス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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