ゾロアスター(読み)ぞろあすたー(英語表記)Zoroaster

翻訳|Zoroaster

精選版 日本国語大辞典 「ゾロアスター」の意味・読み・例文・類語

ゾロアスター

(Zoroaster)⸨ゾロアストル⸩
[1] 古代ペルシアの宗教家、予言者。ゾロアスター教開祖。生存年代は不明であるが、前七世紀中頃から前六世紀後半とされる。ツァラトゥストラ
[2] 〘名〙 「ゾロアスター教」の略。
※偽悪醜日本人(1891)〈三宅雪嶺〉序「ゾロアストルの宗旨には、光の神ヲルムズと暗の神アリマンと宇宙分領し」

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デジタル大辞泉 「ゾロアスター」の意味・読み・例文・類語

ゾロアスター(Zoroaster)

古代イランの宗教家で、ゾロアスター教の開祖。生存年代は不明であるが、前7世紀中ごろから前6世紀後半とする説が有力。ドイツ語名ツァラトゥストラ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゾロアスター」の意味・わかりやすい解説

ゾロアスター
ぞろあすたー
Zoroaster

生没年不詳。古代ペルシアの宗教家、思想家。ゾロアスター教の開祖。ペルシア語でザラスシュトラZarathushtraという。ゾロアスターはギリシア語を介しての英語読み。紀元前600年ころの人とする説もあるが、彼自身の作になる讃歌(さんか)「ガーサー」の言語、形式、内容から紀元前1200年ころの人と推測される。しかし、定説はない。東北イランから南ロシアにかけて遊牧・半定住生活をしていたインド・イラン語族の一部族の祭司階級に生まれた。30歳でアフラ・マズダーによる啓示を受け、倫理性を尊ぶと同時にきわめて楽観的な新宗教(のちにゾロアスター教とよばれる)を開いた。故郷では受け入れられなかったので、40歳で伝道の旅に出、2年後、東北イランのバルフ地方を支配していたウイシュタースパ王の改宗に成功して、この信仰を広める契機をつくった。最初の結婚による娘を王の宰相ジャーマスパに嫁がせ、自らもジャーマスパの姪(めい)を三度目の妻として迎えて地歩を固めた。77歳まで信仰の発展に尽くしたが、対立部族の手によって暗殺されたといわれる。なお、ニーチェの『ツァラトゥストラ』はゾロアスターのドイツ語読みである。

[山本由美子 2018年6月19日]

『伊藤義教著『ゾロアスター研究』(1979・岩波書店)』『メアリー・ボイス著、山本由美子訳『ゾロアスター教』(1983・筑摩書房/講談社学術文庫)』『山本由美子著『マニ教とゾロアスター教』(1998・山川出版社)』『前田耕作著『宗祖ゾロアスター』(ちくま学芸文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゾロアスター」の意味・わかりやすい解説

ゾロアスター
Zōroastrēs; Zoroaster

[生]前630/前628/前618
[没]前553/前551/前541
ペルシアの預言者。ゾロアスター教の開祖。古イラン語ではザラシュストラ Zarathushtra。メディアのスピタマ家に生まれたともいわれるが,その生涯については彼の自作といわれる『アベスタ』中の賛歌"Gathas"に若干の記述があるだけである。 20歳頃から隠遁生活を始め,30歳頃にアフラ・マズダ神の託宣を受け,よい思想,完全な正義,期待せる王国,救い,霊魂不滅調和などについて教えを受け,宗教改革者として活動を始めた。 42歳のときヒシュタースパ王国宮廷で国王を改宗させたが,同王朝の滅亡とともに殉教したという。古代イランの伝統的多神教を道徳的基盤としてマズダ神を主神とする宗教に組織化。遊牧生活の無秩序を非難し,農耕生活の善を説いた。マズダ神と交わったなどの伝説は多いが,神格化されることはない。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ゾロアスター」の解説

ゾロアスター
Zarathushtra[ペルシア],Zoroaster[英]

古代イランの宗教家。前7~前6世紀(前1200~前1000年頃という説もある)の人。生誕地についても諸説あるが,イラン高原北東部で,アフラ・マズダーを崇拝し火を神聖視するゾロアスター教を創始。

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世界大百科事典(旧版)内のゾロアスターの言及

【ゾロアスター教】より

…ゾロアスターZoroasterがイラン北東部で創唱した宗教。その主神アフラ・マズダの名を採って〈マズダ教〉,またその聖火を護持する儀礼の特質によって〈拝火教〉ともよばれる。…

【ツァラトゥストラ】より

…全4部から成る。主人公ツァラトゥストラの名称は,古代ペルシアのゾロアスター教の予言者ゾロアスターのドイツ語での慣用発音である。こうした東洋風の名が採られたのは,プラトン主義やキリスト教というヨーロッパ的理想主義――それは潜在的には〈無の上に立てられており〉,ニヒリズムと等価である――を批判するニーチェの脱ヨーロッパ志向に基づいている。…

※「ゾロアスター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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