ソ連=フィンランド戦争(読み)ソれん=フィンランドせんそう(英語表記)Soviet-Finnish War; Winter War

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソ連=フィンランド戦争」の意味・わかりやすい解説

ソ連=フィンランド戦争
ソれん=フィンランドせんそう
Soviet-Finnish War; Winter War

第2次世界大戦中のソビエト連邦フィンランドの戦争。第2次世界大戦初期の 1939年10月,ソ連第三国からのソ連攻撃を防ぐためという理由で,フィンランドに対して,ハンコ岬を海軍基地として租借すること,フィンランド湾諸島の割譲,カレリア地峡の領土交換などを要求したが,拒否された。11月26日,両国国境で紛争が起こると,ソ連は 28日,この国境紛争事件に抗議して不可侵条約を破棄し,30日フィンランドに対して開戦し,50万の大軍をもって侵略を始めた。親ソ政権がフィンランド領内に組織され,ソ連はこれと提携して戦闘を続けたが,数週間でフィンランド全土を占領できるであろうというソ連側の予想に反して,ソ連軍は C.G.マンネルヘイム元帥の指揮するフィンランド軍の強力な抵抗にあって苦戦した。国際連盟は 12月にソ連を除名し,イギリス,フランスはフィンランド援助を約束したが実現しなかった。1940年2月に開始されたソ連軍の大攻勢の前に,フィンランド軍はその抵抗力の限界に達し,3月12日モスクワで講和条約が成立した。フィンランドは,ソ連の開戦前の要求を上回る条件を受諾せざるをえなかった。1941年6月独ソ戦が開始されると,フィンランドもソ連に宣戦して失地回復をはかり,いわゆる第2次ソ連=フィンランド戦争が始まったが,1944年9月休戦協定が結ばれ,フィンランドは 1940年に失った領土に加えてペッツァモ地方をソ連に譲渡し,ハンコ岬の代わりに,ポルカラ半島を貸与した。

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