ソロモン・スミス・バーニー(読み)そろもんすみすばーにー(英語表記)Salomon Smith Barney Holdings Inc.

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ソロモン・スミス・バーニー
そろもんすみすばーにー
Salomon Smith Barney Holdings Inc.

アメリカの大手投資銀行・証券会社。1997年、総合金融サービス会社のトラベラーズ・グループTravelers Group Inc.が、世界的規模での投資銀行証券業務を行うソロモン・ブラザーズSalomon Brothers Inc.を90億ドルで買収し、グループの完全所有子会社であった投資銀行・証券業のスミス・バーニーSmith Barney Holdings Inc.と合併させて誕生した。

 スミス・バーニーは、1873年にチャールズ・バーニーCharles D. Barneyがフィラデルフィアに起こした証券会社と、1892年にエドワード・スミスEdward B. Smithが同じくフィラデルフィアに設立した投資銀行が1938年に合併して誕生した。スミス・バーニーは、1987年に金融サービス業を営むプライメリカPrimerica Corp.に買収された後、1993年12月、トラベラーズ・グループに買収され、その完全所有子会社となった。

 ソロモン・ブラザーズは1910年にニューヨークウォール街に設立され、その持株会社のソロモンSalomon, Inc.は商品取引業のアメリカ国内最大級であるフィブロPhibro, Inc.を所有する。ソロモンはフィブロ社を通じて、原油天然ガス、電気、金属、石油化学製品、砂糖ココア穀物、コーヒーなどを扱っていた。

 合併後のソロモン・スミス・バーニーは世界的規模での投資銀行業・証券業を営み、27か国に500以上の拠点をもつ。顧客である政府、金融機関、企業に対して株式売買、外国為替(かわせ)取引、証券市場調査、投資銀行業や資産管理などを行う。グローバルな投資銀行業務では、証券引受け・販売、金融デリバティブ(派生商品)取引などを行い、金融コンサルタント業には、M&A(買収・合併)、LBO(借入金による企業買収)、クロスボーダー(国際間)取引などさまざまな金融取引上のアドバイスが含まれる。同社はまた、ニューヨーク、ロンドンフランクフルト、東京において政府証券ディーラーの資格があり、国際市場での金融先物取引も行う。1998年10月、トラベラーズ・グループが大手銀行持株会社のシティコープと合併して、シティグループに改組されたため、ソロモン・スミス・バーニーはその傘下となった。同社の1997年の総資産は2764億ドル。

 日本では、1998年(平成10)6月にシティグループと日興証券(現日興コーディアル証券)が資本提携し、ソロモン・スミス・バーニーとの共同出資による法人顧客を対象としたホールセール(大口取引)の証券会社を合弁設立することに合意、1999年2月に日興ソロモン・スミス・バーニー証券会社(NSSB、現シティグループ証券)が設立された。

[萩原伸次郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android