ソリューション・マイニング(読み)そりゅーしょんまいにんぐ(英語表記)solution mining

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ソリューション・マイニング
そりゅーしょんまいにんぐ
solution mining

鉱床中に含まれる有価成分を鉱床原位置において適当な溶媒により溶出し、有価成分に富む溶液貴液という)として地上に回収し、これらの貴液から有価成分を抽出して利用する技術。採掘作業を伴わないため、一部の準備作業を除き原則として坑内作業を必要とせず、保安・経済上きわめて有利になるばかりでなく、条件さえ整えば低品位鉱にも応用することができ、鉱物資源の有効利用に役だつ。

 アメリカ合衆国において低品位ウラン鉱床を対象に実施されているソリューションマイニングでは、対象鉱体に向けて地表より数本ないし数十本の井戸を掘り、これらを注入井と回収井とに分け、注入井から鉱体内に圧入した溶媒が鉱体内を流動しつつ生成した貴液を回収井を通じて地表に汲(く)み上げ、処理工場に送ってウランを抽出し、イエローケーキとして市場に供給している。

 この技術は主として易溶性の鉱物からの資源の回収利用に用いられているが、溶媒に溶けやすい鉱物が鉱床を形成しているほか都合よく鉱体内のみを流動した溶媒が貴液となり、すべて回収できるなどの鉱床条件に恵まれていなければ適用できないなど、適用にあたっての種々の制約があることに注意すべきである。

伊藤一郎


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ソリューション・マイニング
solution mining

鉱山において採掘後の坑内残鉱あるいは低品位鉱に対し,鉱石の種類に応じた適当な浸出液を注いで有用金属成分を化学的に溶出させて回収する鉱業技術。浸出液で鉱石から有用金属を化学的に回収することをリーチング leachingといい,湿式冶金技術の一種である。これを坑内に応用して,鉱石を採掘するかわりに溶液として金属を回収する方法が開発された。この方法は鉱床そのものにリーチング法を適用するのでインプレースリーチング in place leachingともいう。銅鉱床の浸出液には硫酸または酸性硫酸第二鉄の希薄液を用いる。また,浸出工程において特殊な細菌を利用して浸出効果を高めることがある。これをバクテリアリーチングといい,数種の有用細菌が発見されている。

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