ソフトバンク(株)(読み)そふとばんく(英語表記)SoftBank Corp.

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソフトバンク(株)」の意味・わかりやすい解説

ソフトバンク(株)
そふとばんく
SoftBank Corp.

携帯電話やインターネット接続などを中心とする日本の大手電気通信会社。ソフトバンク企業グループの中核企業の一つで、代表取締役会長はソフトバンク創業者の孫正義(そんまさよし)、代表取締役社長は宮内謙(みやうちけん)(1949― )。移動通信サービス、固定通信サービス、インターネット接続サービス、携帯端末や同関連製品の販売などを手がける。固定電話事業の前身は、旧国鉄を母体に1984年(昭和59)に設立された日本テレコム(後のソフトバンクテレコム)、携帯電話事業の前身は日本テレコムが中心となって1991年(平成3)~1992年に設立した自動車・携帯電話会社の東京・関西・東海デジタルホン(社名はJ-フォン、ボーダフォンを経てソフトバンクモバイルに変更)である。いずれもソフトバンクを中心とする企業グループが買収によって傘下に収めた。2006年(平成18)には、簡易移動情報端末向けの地上デジタル放送サービス(ワンセグ)を視聴できる第3世代携帯電話を発売し、2008年にはアップル社のスマートフォン「iPhone(アイフォーン) 3G」を販売して一気に携帯電話市場でシェアを拡大した。2013年7月、アメリカ携帯電話加入者数第3位のスプリント・ネクステル社を買収し、世界の携帯電話市場で第4位のグループとなった。携帯電話契約数約3931万、資本金約1772億5100万円、従業員数約1万7200人(いずれも2017年3月末時点)。なおソフトバンク(株)は1999年から2015年までソフトバンク企業グループの持株会社であったが、2015年にソフトバンクグループ(株)に社名を変更。それまでソフトバンクモバイル(株)という携帯電話を中心とした電気通信企業が同時にソフトバンク(株)に社名変更した。

[矢野 武 2017年8月21日]

成立に至る経緯

固定電話事業の源流は、日本テレコムで、1986年に電信電話事業の民間開放によって新規参入した事業者のトップを切って、東京―大阪間の企業向け専用サービスを開始し、1988年に市外公衆電話サービスを始めた。旧国鉄やJR各社は列車運行情報をやりとりする送電線光ファイバーを全国に敷設しており、ソフトバンク(株)も日本テレコムから引き継いだ同回線を利用している。1997年には、国際電話第3位の日本国際通信(ITJ)と合併、国内と国際の通信サービスを一貫して行う日本で最初の通信会社となり、同年インターネット接続サービス「ODN」を開始した。2001年にイギリスの大手通信会社ボーダフォングループの傘下に入る。さらに2004年ソフトバンクを中心とする企業グループの傘下に入り、2006年に社名をソフトバンクテレコムに変更した。

 一方、携帯電話事業は自動車・携帯電話の東京・関西・東海デジタルホン(サービス開始は1994年)を源流としており、ソフトバンク(株)のサービス開始も公式には1994年になっている。2001年にイギリスの携帯電話会社のボーダフォングループが日本テレコムグループを傘下に収めたため、2003年にボーダフォンへ社名変更し、2006年にソフトバンクを中心とする企業グループがボーダフォン日本法人を買収してソフトバンク企業グループの傘下に入り、ソフトバンクモバイルに社名を変更した。2015年4月に、ソフトバンクを中心とする企業グループの通信関連4社の再編に伴い、ソフトバンクテレコムがソフトバンクモバイルに吸収合併され、さらに2015年にソフトバンクモバイルからソフトバンク(株)へ社名を変えた。

[矢野 武 2017年8月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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