日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ゼノン(ビザンティン皇帝)
ぜのん
Zenon ギリシア語
Zeno ラテン語
(426―491)
ビザンティン皇帝(在位474~491)。イサウリア貴族の出身で名をタラシコディッサTarasicodissaといった。軍人として活躍し、レオ1世の娘と結婚、改名した。レオ1世の死後帝位につき、一時反乱で退位させられたが、すぐ復位し、ゴート王テオドリックと交渉して、これにイタリアのオドアケルを討たせることに成功した。このころカトリックと異端のキリスト単性論者との間の論争が深刻化していたが、ゼノンは両者の調停を企図し、「一致令」(ヘノティコン)を発して単性説に譲歩した。しかし、ローマ教会はこれを認めず、起草者のコンスタンティノープル総主教アカキオスを非難し、ここに東西教会は484年から519年まで断絶関係に陥った(アカキオスの離教)。
[松本宣郎]