日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゼネラル・ストライキ」の意味・わかりやすい解説
ゼネラル・ストライキ
ぜねらるすとらいき
general strike
ゼネストともいう。労働争議の一形態で、産業別の枠を超えて、同じ地域あるいは全国的規模で労働者が共同して一斉に行うストライキをいう。総罷業、総同盟罷業ともよばれる。通常の労働争議が同情ストの形をとって規模を拡大する経済的ゼネスト、反労働者的政権の打倒ないし政策の改変を要求する政治的ゼネスト、現存社会秩序の転覆を目ざす革命的ゼネストのようなタイプがみられる。
19世紀の終わりから、イタリア、スペイン、ラテン諸国を中心に、無政府主義思想に基づくアナルコ・サンジカリズム(直接行動主義)が広がり、ゼネストで資本主義国家を転覆させようとする戦術をとったが、いずれも弾圧された。ロシア革命(1917)では、ゼネストが武装蜂起(ほうき)に連動して革命の成功につながった。同情ストの例では、1934年のサンフランシスコのゼネスト、1926年のイギリス炭坑夫組合支援のTUC(労働組合会議)が組織したゼネストがある。政治ストの例では、フランスにおける1934年の反ファシズムのゼネストがある。第二次世界大戦後では、1968年のフランスの5月ゼネスト、イタリアの1968~1969年の年金ゼネストなどがある。日本では、1947年(昭和22)に二・一ゼネストが計画されたが、スト突入寸前、アメリカ占領軍の中止命令で未遂に終わった。その後、ゼネストに準じる政治ストとしては、1952年の破防法(破壊活動防止法)反対の労闘スト、1960年の日米安保条約改定反対スト、1975年のスト権回復ストなどがある。
[早川征一郎]
『富岡次郎著『ゼネストの研究』(1978・三一書房)』▽『藤本武著『ストライキの歴史と理論』(1994・新日本出版社)』