センニチコウ(読み)せんにちこう

改訂新版 世界大百科事典 「センニチコウ」の意味・わかりやすい解説

センニチコウ (千日紅)
(common)globe amaranth
Gomphrena globosa L.

熱帯アメリカ原産のヒユ科一年草センニチソウともいう。球状の花序は長いあいだ色や形が変わらないので,ドライフラワーや仏花として利用されてきた。日本への渡来は天和・貞享年間(1681-88)といわれる。草丈は約50cm,茎は直立してよく分枝し,7~8月に頂端に花をつける。頭状花序は多数の小花から成り,各小花には花弁はないが,綿毛のついた5枚の萼片と5本のおしべがあり,2枚の有翼の小苞につつまれている。紅・紫・白色に着色するのはこの小苞であり,この中で果実(すなわち種子)が熟する。別種キバナセンニチコウG.haageana Klotzschは宿根性があり,頭状花序はオレンジ色である。4~5月に播種(はしゆ)するが,綿毛のついたまま砂といっしょによくもんでからまくのがよい。ドライフラワーとするときは,花色のあせないうちに花茎をつけて切りとり,葉をむしり取って束ね,逆さにつるして陰干しとする。鉢植用には矮性(わいせい)種を用いる。花壇用には高性種,矮性種を取り合わせて,株間を15~20cmに植えつける。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「センニチコウ」の意味・わかりやすい解説

センニチコウ
せんにちこう / 千日紅
[学] Gomphrena globosa L.

ヒユ科(APG分類:ヒユ科)の一年草。熱帯アメリカ原産。センニチソウともいい、属名のゴンフレナでよばれることもある。高さ50センチメートルに達し、よく分枝して長楕円(ちょうだえん)形の葉を対生する。各枝の先端に球状の頭花をつける。小花は花弁を欠くが、2枚の包葉は光沢を帯びた紫紅色になり、退色せず長期間色を保つので千日紅の名がある。ほかに桃色や白色の品種もある。種子は4~5月に播(ま)き、夏の花壇や切り花あるいはドライ・フラワーにする。近縁種橙黄(とうこう)色の頭花をつけるアメリカセンニチコウがある。

[伊藤秋夫 2021年1月21日]

文化史

千日紅は中国名で、日本には中国より渡来したが、その年代を『花壇地錦抄附録(かだんちきんしょうふろく)』(1733)は天和(てんな)から貞享(じょうきょう)(1681~1688)のころとする。書物の初見は『花壇地錦抄』(1695)で、千日向と綴(つづ)られ、花を茎とともに切って、陰干しすれば、冬の立花や草とめ、投入れなどに用いられ、色変わりしないので重宝すると載る。日本のドライ・フラワーのはしりである。花が長く変わらないのは、ケイ酸が多いからだとされる。

[湯浅浩史 2021年1月21日]


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