センデル(英語表記)Sender, Ramón José

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「センデル」の意味・わかりやすい解説

センデル
Sender, Ramón José

[生]1902.2.3. ウエスカ
[没]1982.1.15. サンディエゴ
スペインの小説家,ジャーナリスト。スペイン語圏の現代文学を代表する作家の一人。マドリードの著名新聞『エル・ソル』 El Solの記者をつとめながらヨーロッパ各地を旅行。内乱後グアテマラ,さらにメキシコを経て,アメリカ合衆国に移りニューメキシコ大学でスペイン文学を講じた。モロッコ戦争に取材した小説『イマンImán (1930) や,国民文学賞を得た『自治区のミスター・ウイット』 Mr. Witt en el cantón (36) などで内乱前から知られていたが,スペインでは 1960年代まで不当に無視された。代表作は,小説『王と女王』 El rey y la reina (49) ,『アリアドナの5書』 Los cinco libros de Ariadna (57) ,『スペイン農民のための鎮魂曲』 Requiem por un campesino español (60) ,戯曲『エルナン・コルテス』 Hernãn Cortés (40) ,『娼家のドン・フアン』 Don Juan en la mancebía (68) など。文芸批評の分野では『バリェ=インクランと悲劇の困難さ』 Valle-Inclan y la dificultad de la tragedia (65) が特に注目される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「センデル」の意味・わかりやすい解説

センデル
せんでる
Ramón J. Sender
(1902―1982)

スペインの小説家。1935年、『カルタヘナのウィット氏』で国民文学賞を獲得し文壇にデビュー。スペイン内戦では共和国側につき参戦するが、共和政府の勢力争いに失望して38年にスペインを去り、フランス、グアテマラ、メキシコを経てアメリカに居を定めた。アメリカの諸大学でスペイン文学を講ずるかたわら、いわゆる亡命作家として旺盛(おうせい)な創作活動を展開した。代表作は、第二共和政成立から内戦に至る時代を背景にアラゴン地方の田舎(いなか)司祭と青年パコとの交友を描く『スペインの農夫への追悼ミサ』(1953)、ある男の失踪(しっそう)を契機に、村に巻き起こる事件を扱う『人間の場』(1939)など。つねに弱者への人間的思いやりが作品の基調をなす。

[東谷穎人]

『野々山真輝帆編『スペイン内戦と文学』(1982・彩流社)』

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