セダカニセメギス(読み)せだかにせめぎす(英語表記)brown dottyback

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セダカニセメギス」の意味・わかりやすい解説

セダカニセメギス
せだかにせめぎす / 背高偽眼鱚
brown dottyback
[学] Pseudochromis fuscus

硬骨魚綱スズキ目メギス科メギス亜科に属する海水魚。日本では南西諸島、小笠原(おがさわら)諸島の海域から知られ、世界では台湾南部、香港(ホンコン)、南シナ海、スリランカからバヌアツ、インドネシア、オーストラリアなど西太平洋や東インド洋に分布する。体はやや高い楕円(だえん)形で側扁(そくへん)する。体高は背びれの起部でもっとも高く、体長の約30~36%。頭部背縁はほとんど直線的。吻長(ふんちょう)は眼径とほとんど同じ。口は普通大で、上顎(じょうがく)の後端は目の中央下に達する。上下両顎に3対(つい)の著しく長い犬歯状歯がある。側線は2本で、前方のものは鰓孔(さいこう)の上端から始まり、上昇して背びれ軟条始部下付近から体の背縁に並行して、臀(しり)びれの軟条部中央部上方まで走り、その側線有孔鱗(ゆうこうりん)数は23~36枚。後方の側線は臀びれの後半~後端部付近の上方から始まり、体の中央部を尾柄(びへい)まで走り、その側線有孔鱗数は4~14枚。背びれは鰓孔上方から始まり、3本の比較的じょうぶな棘(きょく)と25~29本の分枝軟条からなる。背びれの棘部と軟条部の間に欠刻(切れ込み)がない。臀びれは3棘13~15軟条。背びれと臀びれに鱗鞘(りんしょう)(基底付近を覆う鱗(うろこ))が発達する。尾びれの後縁は丸形から截形(せっけい)(後縁が上下に直線状)、あるいは湾入形までさまざまである。体は鮮黄色から暗灰色で、普通は項部(背びれ起部より前の後頭部)と体の前部に青い斑点(はんてん)がある。体の上部と背びれは黄色。尾びれと尾柄部は淡い。水深30メートル以浅のサンゴ礁の潮だまり(タイドプール)、礁湖、礁外斜面などにすむ。全長は9センチメートルほどにしかならない小形種。水族館で飼育される。

 本種が属するメギス亜科は、背びれ棘と臀びれ棘が2~3本で、棘部と軟条部の間に欠刻がなく、側線が2本に分かれているのが顕著な特徴である。また本種はニセスズメ属に属するが、背びれ棘が3本であること、上下の側線有孔鱗数が少ないこと(上が36枚以下、下が15枚以下)などで、メギス属やオビキヌハダタナバタメギス属と容易に区別できる。

[尼岡邦夫 2022年7月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android