セゴビア(英語表記)Segovia

デジタル大辞泉 「セゴビア」の意味・読み・例文・類語

セゴビア(Segovia)

スペイン中央部の都市。ローマ時代の水道橋アルカサルセゴビア大聖堂など歴史的建造物が多い。1985年「セゴビア旧市街とローマ水道橋」の名で世界遺産文化遺産)に登録された。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「セゴビア」の意味・読み・例文・類語

セゴビア

(Andrés Segovia アンドレス━) スペインのギター奏者。一四歳のときグラナダデビューパリ進出して名演奏をうたわれ、クラシック‐ギター演奏の第一人者となる。また、バッハなどの古典を編曲するなど、ギター音楽の芸術性を高めた。(一八九三‐一九八七

セゴビア

(Segovia) スペイン中央部の都市。マドリードの北西方、グアダラマ山脈の北西側麓にある。ローマ人が建設。イスラム支配ののち、カスティーリャ‐レオン王国の王宮所在地の一つとなる。ローマ時代の水道橋、中世ゴシック様式の大聖堂などが残る。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「セゴビア」の意味・わかりやすい解説

セゴビア
Segovia

スペイン中央部,カスティリャ地方の同名県の県都。人口5万4568(1982)。エレスマEresma川とクラモレスClamores川に挟まれた町で,両河川の合流地点にはカトリック両王が一時居を構えたアルカサル(王宮。14世紀)がそびえ,王宮から旧市街へは城壁が延びている。8世紀初めにイスラム教徒に征服されたが,11世紀にキリスト教徒が奪回し,メスタ(羊毛生産業者の組織)を中心とした羊毛産業と牧畜による経済発展を基盤に,カスティリャ王国の中で軍事的に最も強力な都市であった。マドリードをイスラム教徒から解放したのは,セゴビア人である(1083)。だがコムネロスの反乱(1519-21)では,異国人の国王カルロス1世に対抗して敗れ,さらに16世紀から17世紀にかけ,外国遠征ならびに経済危機,疫病などによるカスティリャ王国の衰退とともに,かつての力を失っていった。こうした歴史から,1978年憲法発布後に地方自治制度が確立されていく過程で,独自の自治権を要求したが承認されず,カスティリャ・レオン地方の中に組み入れられた。
執筆者:

セゴビアは前80年ごろローマ人の支配下に入る。ローマ時代の水道橋は,花コウ岩の切石を積み上げた128個の2層アーチからなり,全長813mに及ぶ。中世の遺構では,サン・ミリャン教会(11~12世紀),十二角形のラ・ベラ・クルス教会(13世紀)などロマネスク建築がある。カルロス1世の命により16世紀に建立された大聖堂は,スペイン・ゴシック最晩期の建築で,典雅なたたずまいを見せる。設計はヒル・デ・オンタニョンJuan Gil de Hontañón(1480ころ-1526),星形リブ付き穹窿で覆われた祭室群はその子ロドリゴRodrigoによる。回廊は,コムネロスの反乱時に破壊をうけた旧大聖堂から移築された15世紀のもの。
執筆者:

セゴビア
Andrés Segovia
生没年:1893-1987

スペインが生んだ20世紀最高のクラシック・ギター奏者。ギターが演奏会用の独奏楽器として確立されたのは,セゴビアの力によるところがきわめて大きい。少年時代にギターに魅せられ,家族の反対を押し切って独習で奏法を習得,15歳でデビューした。その後,スペインおよび南米各地で演奏を重ねて腕を磨き,1924年パリに進出。ここで大成功をおさめ,世界的演奏家としての地歩を固めた。ギターの限られたレパートリーを拡充するため,セゴビアは著名な作曲家たちに新作を委嘱する一方,バッハ,その他の大家たちの作品をみずからギター用に編曲しているが,これは,彼の後に続くギター奏者たちの大きな財産となった。1929,59,80,82年に来日。表情豊かに,ロマンティックに歌いあげてみせるセゴビアの演奏は,現代の感覚からは多少古く感じられるとはいえ,それがかもし出す人間的なぬくもりは,依然,強く支持されている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「セゴビア」の意味・わかりやすい解説

セゴビア

スペインのギター奏者。19世紀中葉以降サロン楽器に甘んじていたクラシック・ギターを現代によみがえらせ,その表現力を大きく拡大した。ソルタレガの志を継ぐその業績はチェロカザルスにもたとえられる。アンダルシア東北部のリナレスに生まれ,ギターを独学で習得。15歳でデビューし,以後スペインと南米を楽旅。1924年パリでのリサイタルで名声を確立し,1928年ニューヨークにデビュー。以後,多くの古典音楽を発掘するとともにJ.S.バッハなどの作品をギター用に編曲し,そのレパートリーを拡大。また同時代の作曲家に作品を委嘱し,ギター音楽隆盛の立役者となった。スペインのトゥリーナ,イタリアのカステルヌオーボ・テデスコ,メキシコのポンセ,ブラジルのビラ・ロボスなどによる名曲が,彼の依頼によって誕生し,ロドリーゴはギターと管弦楽のための《ある貴紳のための幻想曲》(1954年)を献呈している。1929年以来4度来日し,風格ある名演を聴かせた。→イェペスギターファリャ
→関連項目ロドリーゴ

セゴビア

スペイン中央部,カスティリャ・イ・レオン自治州の同名県の県都。マドリード北西65kmにあり,繊維,製紙,皮革,ガラスなどの工業が行われる。ローマ時代の水道橋,16世紀のゴシック式大聖堂がある。古代イベロ人の居住地で,ローマ時代に繁栄。8世紀イスラム教徒に征服されたが,1085年,アルフォンソ6世が奪回。旧市街とローマ水道は1985年世界文化遺産に登録。約5万6000人(2006)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セゴビア」の意味・わかりやすい解説

セゴビア
Segovia

スペイン北部,カスティリア・レオン自治州南部,セゴビア県の県都。グアダラマ山脈の北西麓,標高約 1000mに位置する。ローマ時代から戦略上重要な位置にあり,中世にはカスティリア王国の主要都市として繁栄。装飾織物でも知られた。 16~18世紀はスペインの造幣所が置かれた。農林産物加工,陶器,化学製品,肥料製造などを行なう。城壁に囲まれた旧市街には,広場を中心に 11~12世紀の聖堂が多数あるほか,ローマ時代の水道橋,カスティリア王国の城塞 (12世紀) などがある。 1985年世界遺産の文化遺産に登録。人口5万 4142 (1991推計) 。

セゴビア
Segovia, Andrés

[生]1893.2.17. リナレス
[没]1987.6.2. マドリード
スペインのギタリスト。グラナダ音楽院で学び 16歳のときグラナダでデビュー。世界各地を演奏旅行し,アメリカに定住。バッハをはじめ古典音楽をギター独奏に編曲し,新しい分野を切り開いた功績は大きい。 1929~82年の間に4度来日。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android