スモレンスク(英語表記)Smolensk

精選版 日本国語大辞典 「スモレンスク」の意味・読み・例文・類語

スモレンスク

(Smoljensk) ロシア西部、ドニエプル川の上流域にある都市ヨーロッパモスクワを結ぶ街道要地にあり、九世紀からキエフ公国の要地として栄えた。ナポレオン戦争第二次世界大戦激戦地として知られる。

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デジタル大辞泉 「スモレンスク」の意味・読み・例文・類語

スモレンスク(Smolensk/Смоленск)

ロシア連邦西部、スモレンスク州工業都市。同州の州都。モスクワの西約360キロメートル、ドニエプル川上流に位置する。古くから交通および戦略上の要地として知られる。ロシアポーランド戦争、ナポレオン遠征、第二次大戦でのドイツ軍などによりたびたび破壊された。旧市街には12世紀半ばの聖ペテロパウロ聖堂や17世紀初頭のクレムリン城壁などが残っている。

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改訂新版 世界大百科事典 「スモレンスク」の意味・わかりやすい解説

スモレンスク
Smolensk

ロシア連邦西部,同名州の州都。人口31万9329(2004)。863年から知られるロシア最古の都市の一つ。モスクワとミンスクを結ぶ線上にある鉄道交通の要所。882年よりキエフ公国の版図に入り,12世紀にはスモレンスク公国の首都となった。1404年から約1世紀の間リトアニア大公国の領土となったが,1514年モスクワ大公国によって併合された。17世紀初頭の〈動乱時代スムータ)〉にポーランド軍に占領されたが,1667年の近郊アンドルソボの休戦条約の結果,ロシアに帰属した。このように,常にロシア国家の西方国境の防衛拠点として戦術上重要な位置を占め,1812年のナポレオン軍の侵入,1941年のナチス・ドイツ軍の侵入に際してのスモレンスク会戦は名高い。11世紀の教会,16世紀末の要塞壁が残るほか,今日は工業都市としても知られ,同州の工業生産高の40%以上を占める。とくに機械製造や軽工業(オートメーション機器,計算機,電球,冷蔵庫,ラジオ部品など)が盛んである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スモレンスク」の意味・わかりやすい解説

スモレンスク
すもれんすく
Смоленск/Smolensk

ロシア連邦西部、スモレンスク州の州都。ドニエプル川上流の丘陵地帯にあり、市街は両岸に広がっている。人口35万5700(1999)。ドニエプル川下流、西ドビナ川、ボルガ川の各流域を結ぶのに便利な位置にあるため古くから開け、町の起源はキエフ時代(9~12世紀)にさかのぼる。戦略上の要地として、17世紀初頭のポーランドとの戦争、1812年のナポレオン軍との戦争、第二次世界大戦における1941年のドイツ軍との戦闘など、しばしば外国勢力の攻撃の的となり、被害を受けた。とくに第二次世界大戦中の41年7月から43年9月までドイツ軍に占領され、市街のほとんどが破壊された。このときドイツ軍に押収された文書で、のちに共産党独裁下の統治が研究された。戦後復興し、現在は発展著しく、州の工業、文化の中心地となっている。主要な工業は機械、食品、繊維、建設資材工業である。また、医科、体育、教育の各大学、ドラマ劇場、人形劇場、郷土博物館などの教育・文化施設がある。旧市街はドニエプル川左岸の丘陵にあり、12世紀建造のペテロ・パウロ聖堂、ビルスカヤ聖堂などの歴史的建造物のほか、行政・文化施設がある。右岸には工業企業が多い。緑地も多く、ロシアで美しい町の一つといわれている。市はまた交通の要地で、鉄道、ハイウェーの分岐点であり、河港をもっている。

[外川継男・中村泰三]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スモレンスク」の意味・わかりやすい解説

スモレンスク
Smolensk

ロシア西部,スモレンスク州の州都。モスクワの西南西約 400kmにあり,ドネプル川上流部にのぞむ。ロシア最古の都市の一つに数えられ,863年から記録に現れる。ドネプル川と西ドビナ川を結ぶ交易路と,モスクワ地方と西ヨーロッパを結ぶ交通路とを押える要地にあったため,12世紀にスモレンスク公国の首都となり,交易中心地として繁栄したが,その繁栄のゆえに周辺諸国からしばしば攻撃の対象となった。特に 13世紀から数世紀間リトアニア,ポーランドとモスクワ公国との間で争奪が行われ,1654年ロシアの支配下に入った。市内およびその周辺では 1812年ナポレオン軍と,1941,43年ドイツ軍との間で激戦が行われ,市街は大きな被害を受けた。その後復旧し,12世紀建造のペテロ・パウロ聖堂やスビルスカヤ聖堂も再建された。 16~17世紀には市は手工業,商業の大中心地となっていたが,現在は機械 (道路建設用機械,電機) ,繊維,縫製,食品 (製粉,食肉) などの工業が発達する工業都市として,また医科,教育,獣医科の各大学,人形劇場などのある文化・教育の中心地として発展している。鉄道の分岐点で,河港もある。人口 32万6863(2010)。

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百科事典マイペディア 「スモレンスク」の意味・わかりやすい解説

スモレンスク

ロシア西部,ドニエプル川上流に臨む都市。同名州の州都。鉄道の要地。機械,織物,食品などの工業が行われる。863年から知られるロシア最古の都市の一つで,中世には商業の中心として発達。長くロシア,ポーランドの争奪の的であったが,1667年ロシア領となった。1812年のナポレオン軍侵入の際や1941年のナチス・ドイツ軍侵入の際の〈スモレンスク会戦〉など,つねにロシアの西の防衛拠点でありつづけた。宇宙飛行士ガガーリンの生地としても知られる。31万5029人(2009)。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「スモレンスク」の解説

スモレンスク
Smolensk

ロシア西部の都市。ネストルの年代記に出てくる古い都市で,12世紀にはモスクワ,カルーガまで含む公国の中心だったが,その後1611年にはポーランドに占領され,1667年最終的にロシア領となった。

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