化学辞典 第2版 「スピン-軌道相互作用」の解説
スピン-軌道相互作用
スピンキドウソウゴサヨウ
spin-orbit interaction
スピンと軌道角運動量との間の相互作用をいう.これは古典的には次のように考えることができる.原子核のまわりを回っている電子を固定した座標系から見ると,プラスの電荷をもつ原子核があたかも電子のまわりを回っているように見え,それによって電子の位置に見掛け上の磁場が生じる.この磁場と電子自身のスピン磁気モーメントとの相互作用がスピン-軌道相互作用である.この相互作用は,P.A.M. Diracによって相対論的電子論の立場からより正確な形で与えられている.多電子系のスピン-軌道相互作用の近似としてよく用いられるのは,ラッセル-ソーンダーズ結合が成り立つ場合であって,λL・Sの形である.ここで,λは定数,L,Sはそれぞれ多電子系の合成軌道角運動量および合成全スピンである.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報