スノッブ(英語表記)snob

翻訳|snob

精選版 日本国語大辞典 「スノッブ」の意味・読み・例文・類語

スノッブ

〘名〙 (形動) (snob) 上品ぶったり、趣味を誇ったりして教養人を気どること。また、そのさまや、そのような態度をとる人。えせ紳士。〔新しき用語の泉(1921)〕
※冬の宿(1936)〈阿部知二〉一一「さうしたところに、ときをり招ばれて行った従妹と私とは、救はれないスノブであったらう」

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デジタル大辞泉 「スノッブ」の意味・読み・例文・類語

スノッブ(snob)

紳士・教養人を気どる俗物。えせ紳士。スノブ。

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改訂新版 世界大百科事典 「スノッブ」の意味・わかりやすい解説

スノッブ
snob

〈自分より社会的,経済的に上の階層の人にあこがれ,そのまねをしたり,仲間入りをしたがる人〉を意味する英語。しばしば〈俗物〉とか〈紳士気取り〉と訳されているが,必ずしも正確とはいえない。このような態度や根性を〈スノバリーsnobbery〉という。〈スノビズムsnobbism〉という語もあるが,あまり用いられない。語源については明らかでないが,最初は18世紀の俗語で靴屋を意味し,さらにケンブリッジ大学関係者が町の一般市民を呼ぶときに使い,19世紀になってから下の階級の人間,育ちや趣味の悪い人間を指す侮蔑語となった。W.M.サッカレーが1847年に《イギリスのスノッブたち》という連載エッセーを完結させてから,この語は英語圏内のみならず,他の国々にも広く知られるようになった。例えばフランス語にもそのままとり入れられ,〈スノビスムsnobisme〉という語さえ造られた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スノッブ」の意味・わかりやすい解説

スノッブ
snob

「俗物」と訳され,普通気どり屋,時流を追う者,知ったかぶりをする者などを意味するが,完全に定義しえない。少くとも自分を大衆よりはすぐれていると感じ,その優越感を絆 (きずな) に同類の人間だけでグループを結成し,また結成しようと欲する人物といえる。 snobという語は 18世紀後半のイギリスの隠語であるが,このような精神態度 (スノビズムという) をもつ人間は社会現象としてどの時代,どの社会にも見出される。特に 19世紀以後社交場や上流階級に現れ,文学作品においても W. M.サッカレーや M.プルーストにより描写されている。スノッブはまた時代の流行,趣味を大衆に先立って形成する者ともなる。マルクス主義者がこの言葉を使う場合,通俗性を求めて原理を歪曲する者,またブルジョアプチブルジョアをいう。

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百科事典マイペディア 「スノッブ」の意味・わかりやすい解説

スノッブ

社会的身分の高い人にへつらい,その人たちの真似をしたり,交際を求めたりするくせに,下のものには威張りちらす人物。身分的な壁の厚かった近世・近代の英国において多く見られたところを,19世紀中葉,小説家サッカレーが軽蔑して用いた言葉が定着し,〈俗物根性の持ち主〉の意味で使われるようになった。
→関連項目ビクトリア時代

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世界大百科事典(旧版)内のスノッブの言及

【ビクトリア時代】より

…ジェントルマンであるかないかということを基準に社会の階層秩序が形成されており,上層の中流階級は田舎に土地と邸宅を買い求め,子弟をパブリック・スクールに送ってジェントルマンの地位を目ざした。一方,それだけの資力のない中流階級の間では,ジェントルマンの外見を模倣する紳士気取り(スノッブ)の風が広がり,とくに召使の雇用は,彼らをより下の労働者階級から区別する端的な地位の象徴となった。また,家父長制がなお家族形成の基本的な原理となっており,そのため女性の男性への従属は当然のことと一般に考えられ,女性の政治的・社会的権利は,ほとんど認められていなかった。…

※「スノッブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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