スナドリネコ(読み)すなどりねこ(英語表記)Fishing Cat

改訂新版 世界大百科事典 「スナドリネコ」の意味・わかりやすい解説

スナドリネコ (漁猫)
fishing cat
Felis (Prionailurus) viverrina

食肉目ネコ科の哺乳類ベンガルヤマネコに似るが大型の野生ネコで,インドスリランカから中国南部,ジャワまでに分布体長75~86cm,尾長26~33cm,体重8~14kg。体の割りに尾が短く,体毛は粗く,光沢がない。体色は灰褐色で,暗褐色斑点がある。低湿地ヨシ茂み,海岸や沼の周辺などにすみ,水に入るのをきらわず,よく泳ぐ。おもに魚,カニ,貝,カエル,小哺乳類などを食べるが,イヌ,ヒツジ,子ウシを殺した例も知られる。和名英名の訳で漁をする(すなどる)ネコの意。妊娠期間は約63日,1産1~4子で,野生では子は4~6月に見られたという。
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知恵蔵mini 「スナドリネコ」の解説

スナドリネコ

食肉目ネコ科に属するほ乳類。体長60~85センチ、尾の長さ20~32センチ、体重5.5~8キロ。南アジアから東南アジアにかけて沼地川辺森林地帯を中心に生息している。毛は短く灰褐色、全身にやや細長い黒斑が並ぶ。尾は太く、耳は短く丸い。食べ物として特に魚を好み、前足で魚を捕り泳ぎも得意なため「漁り猫」(スナドリネコ)の和名がついている。近年、生息地の環境変化により生息数が激減しており、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価で絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定されている。2015年3月に三重県鳥羽市の鳥羽水族館にオープンする新ゾーン「奇跡の森」にて、スナドリネコが水族館で初めて展示される予定となっている。

(2015-1-6)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スナドリネコ」の意味・わかりやすい解説

スナドリネコ
すなどりねこ / 漁猫
fishing cat
[学] Prionailurus viverrinus

哺乳(ほにゅう)綱食肉目ネコ科の動物。インドから東南アジアの水辺の森林ややぶ地に生息する。ベンガルヤマネコに近縁であるが大形で、体長70~85センチメートル、尾長25~32センチメートル、体重8~14キログラムに達する。

[今泉忠明]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スナドリネコ」の意味・わかりやすい解説

スナドリネコ
Felis viverrina; fishing cat

食肉目ネコ科。体長 70~80cm。毛はあらく,体色は灰色または灰色を帯びた黄褐色の地色に,茶褐色の鮮かな斑紋がある。体はがんじょうで,前後肢はやや短い。泳ぎがうまく,魚のほか,淡水の貝類,カニ,カエルなどを捕食する。和名は魚をとる意味の「漁 (すなど) り」に由来するものらしい。インド,インドネシア,ミャンマー,タイ,マレー半島に分布し,マングローブなどの沼沢林や水辺の草原にすむ。

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