日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストーン・サークル」の意味・わかりやすい解説
ストーン・サークル
すとーんさーくる
stone circle
自然石または加工の少ない巨石を環状に配置したもので、巨石記念物の一つ。環状列石と訳す。巨石墓など墳墓の外周を取り巻くものと、墓と直接には関係しないと思われるものの両者がある。前者は分布が広く、ヨーロッパ以外にも南インド、シベリアなど世界的に広がっている。日本では北海道の音江(おとえ)環状列石などがある。イギリスのストーンヘンジは、墓壙(ぼこう)は伴うが後者に属するものといえよう。環状列石といっても、正円ではなく楕円(だえん)形のもの、不整円形のものも多く、一重のものから二重、三重に巡らすものまで、その形態は変化に富んでいる。石材の大きさも数十トンに達するものから、巨石とはよべない小さなものまでさまざまである。
イギリスでは、ストーンヘンジのほかに、アベベリー、フランスではエル・ラニックなどが著名であり、中国でも斎家(せいか)文化の大何荘(だいかそう)遺跡などが知られている。日本では東北、北海道に分布が多く、秋田県の大湯環状列石(おおゆかんじょうれっせき)の「日時計」がよく知られているほか、北海道の忍路(おしょろ)環状列石、岩手県の樺山(かばやま)遺跡などがある。
[寺島孝一]