日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ストーン(John Richard Nicholas Stone)
すとーん
John Richard Nicholas Stone
(1913―1991)
イギリスの経済学者。ロンドンに生まれる。ケンブリッジ大学で法学を学んだのち経済学に転向、1935年に卒業し、1938年に修士号、1957年に博士号を取得した。ロンドンのロイズ商会で勤務したのち、第二次世界大戦中は戦時内閣の経済スタッフとして経済統計作成に従事した。1945年ケンブリッジ大学に新設された応用経済学部の学部長に就任、1955年に財政学および会計学の教授に転じ、1980年引退、名誉教授となった。なお、1955年に計量経済学会の会長となり、また1978年にはナイトの称号を授けられている。
ストーンは、第二次世界大戦中にJ・M・ケインズの指導のもとで、イギリスの経済活動の計測に取り組み、J・E・ミードとともに戦時金融および国民所得と支出の分析を行った。このとき彼の考案した国民所得勘定は、経済活動を計測する有用な手段として高く評価された。第二次世界大戦後の1947年には国民所得勘定の新しい試案を発表した。のちに国際連合において国民経済計算体系System of National Accounts(SNA)の国際基準づくりの指導者として活躍し、1953年にこの体系が国連によって提示された。SNAは国連加盟国に広く利用され、1968年に全面改定された。ストーンは、この新SNAの作成にもかかわっている。1984年「SNAの開発とそれに基づく実証的経済分析の基礎を大きく改善」した功績により、ノーベル経済学賞を受賞した。
[金子邦彦]
『R・ストーン、G・クロフト・マレー著、家本秀太郎・渋谷行雄訳『社会会計と経済モデル』(1964・東洋経済新報社)』▽『R・ストーン、G・ストーン著、城戸喜子訳『国民所得と国民支出』(1968・春秋社)』