ストモ(英語表記)Raden Sutomo

改訂新版 世界大百科事典 「ストモ」の意味・わかりやすい解説

ストモ
Raden Sutomo
生没年:1888-1938

インドネシア民族主義運動の先覚者。中部ジャワのバンギルに下級貴族の子として生まれ,1905年にバタビア(現,ジャカルタ)の原住民医学校に入学。07年末,先輩の医師ワヒディンの奨学金設置運動に刺激され,医学校の級友たちとともにジャワ族の文化・教育団体ブディ・ウトモを08年5月に創立した。11年に医学校を卒業し,医者として活動しながら,ブディ・ウトモの役員を兼ねた。のちにオランダに留学し,21年にはオランダの医学博士号を得た。留学中は若い同胞に影響を与え,インドネシア協会の成立に力があった。帰国後24年にはブディ・ウトモの幹部メンバーとなり,スラバヤ市参事会の一員となったが,同年7月参事会を辞任してスラバヤにインドネシア研究会をつくり,26年ごろから植民地政府の政策に対し批判的になった。35年12月穏健派の諸団体合同に際し,パリンドラ党党首に推された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ストモ」の意味・わかりやすい解説

ストモ
Sutomo

[生]1888
[没]1938
インドネシアの医師,民族主義運動指導者の1人。中部ジャワに生れ,1903年に先住民医師養成学校に入学。 07年に奨学金制度設置のために遊説中の老医師ワヒディン・スディロフソドに会い,その情熱に打たれて級友らとともにインドネシア最初の民族主義団体ブディ・ウトモ結成に尽力した。しかし,08年に成立したこの団体はまもなく当初活力を失ったので,彼は別にスラバヤで「一般研究会」を組織した。第2次世界大戦直前に惜しまれつつ世を去った。インドネシア民族英雄の1人に数えられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android