ステップ気候(読み)ステップキコウ

デジタル大辞泉 「ステップ気候」の意味・読み・例文・類語

ステップ‐きこう【ステップ気候】

ケッペンの気候区分による乾燥気候の一。符合BS砂漠気候よりはやや湿潤で、丈の低い草原が広がる。中央アジア、マグレブ地域、サハラ砂漠の南、北米中西部パタゴニアオーストラリア中部などにみられる。草原気候
[補説]年平均気温がセ氏18度以上の地域(インド西部・アフリカメキシコ・オーストラリア中北部など)をBSh、それ未満の地域(中央アジア・北米・オーストラリア中南部など)をBSkに分けることがある。

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精選版 日本国語大辞典 「ステップ気候」の意味・読み・例文・類語

ステップ‐きこう【ステップ気候】

〘名〙 (ステップはstjep') 主として中緯度地方で、砂漠サバンナ気候に隣接して分布する乾燥した気候。年降水量はおよそ二五〇~五〇〇ミリメートルで砂漠より多く、サバンナより少ない。草原気候。半乾燥気候

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ステップ気候」の意味・わかりやすい解説

ステップ気候
すてっぷきこう

砂漠気候(BW気候)に次いで乾燥した気候(ケッペンのBS気候)で、草原気候、半乾燥気候ともいう。半乾燥気候地帯はプレーリー(長草)とステップ(短草)に区分され、前者の地域ではやや降水量が多く安定しているのに対し、後者では降水量は少ない。ステップ気候は乾燥限界の半分以上の降水のある地域と定義され、砂漠気候の周辺で湿潤気候地帯との漸移帯に分布する。年降水量はほぼ250~500ミリメートルで、経年変動が大きい。ケッペンによれば、寒帯草原をツンドラといい、温帯ないし熱帯の草原をステップという。この気候地域ではおもに牧畜が行われ、灌漑(かんがい)可能な地域では農耕も行われる。

[深石一夫]

『福井英一郎他編『日本・世界の気候図』(1985・東京堂出版)』『吉野正敏他編『気候学・気象学辞典』(1985・二宮書店)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ステップ気候」の意味・わかりやすい解説

ステップ気候 (ステップきこう)
steppe climate

乾燥気候の一つで,W.P.ケッペンの気候区分ではBSという記号で表される。草原気候ともいう。年平均気温はやや低いが砂漠気候に似ている。年間降水量は250~500mmくらいで少なく,夏に集中的に短い雨季がある。土壌は肥沃チェルノーゼムだが,植生は乾燥に強い丈の低い草原(ステップ)を中心に,砂漠に近づくと栗色土となり,さらに短い草原となる。この気候は砂漠の周辺に分布し,アメリカ合衆国のグレート・プレーンズ,ラテン・アメリカの乾燥パンパ(単調,平たんな草原)のほか,オーストラリアのグレート・サンディ砂漠,中央・西アジアの砂漠,アフリカのサハラ砂漠の周辺などにみられる。新大陸や旧ソ連地域のステップでは乾燥農法や人工灌漑による穀物農業や牧畜も行われるが,中央・西アジアやアフリカは遊牧が主である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ステップ気候」の意味・わかりやすい解説

ステップ気候
ステップきこう
steppe climate

砂漠気候とともに乾燥気候に属する気候型で,砂漠気候よりも雨が多いために草原となる気候。草原気候ともいう。ステップとは本来中央アジアの広大な草原を意味する。ウラジーミル・P.ケッペンによれば,乾燥限界と砂漠限界との間の気候をさし,その地域は砂漠気候地域を取り巻くように分布する。アジアからアフリカに続く広大なステップ気候地域では,草原の草を飼料として遊牧生活が営まれ,アメリカ大陸の西部やオーストラリアの草原でも大規模な企業的牧畜が行なわれている。乾燥限界に近い地域では多少とも雨量が多く,土壌も肥沃で灌漑によって農業も行なわれている。北アメリカのプレーリー西部,アルゼンチンのパンパス西部,ロシアの黒土地帯などがこれにあたる。

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百科事典マイペディア 「ステップ気候」の意味・わかりやすい解説

ステップ気候【ステップきこう】

草原気候とも。ステップに特徴的な半乾燥気候。年降水量は250〜500mmで樹木の生育に適さず,草が繁茂する。ケッペンの気候区分で記号はBS。
→関連項目シベリア

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世界大百科事典(旧版)内のステップ気候の言及

【乾燥気候】より

…年間の降水量が蒸発量より少なく,低湿度のために樹木が生育しにくく,気温の年較差よりも日較差が大きい気候。この気候帯に属する地域は全陸地の約4分の1も占めるが,年降水量が250mm未満の乾燥の厳しい砂漠気候と,夏に短い雨季をもっていて年間250~500mmの降水量を有するステップ気候に分けられる。砂漠気候下では降雨回数がきわめて少ないが,降ると激しく,その時だけ流水がみられるワジがある。…

※「ステップ気候」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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