日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
スタンプ(切手、印紙、証紙)
すたんぷ
stamp
語源(古英語stempan=足で踏む)からみると切手、印紙、証紙とか、押し型でつけられた意匠や刻印などと、きわめて広い意味をもっている。そのなかで、郵便切手をさすことが割合に多いが、これはpostage stampを略したもので、かならずしも正しい呼称とはいえない。日本ではスタンプを証印の意味に用いる場合が多い。
郵便局で使うスタンプは、主として切手の消印や証印として使われており、局名と取扱い日時が刻まれている。その形態は時代により、使用目的によって、いろいろ変化している。平素使われている普通日付印のほかに、国民的な記念行事や国際会議などには特殊スタンプが、また地方における相当規模の式典や催し物などには小型記念スタンプが随時使用される。名勝・史跡などの所在地の郵便局には風景スタンプが備えられて、遊覧記念用として利用されている。新しい切手が発行されたときには、指定された郵便局にハトマークのついた初日用スタンプが用意され、収集家の便に供されている。これらの郵便局のスタンプは、葉書料金以上の料金の切手を貼(は)ったものに記念押印してもらえる。また消印用ではないが、料金別納・後納用、年賀特別郵便用のスタンプも、常時あるいは季節的に郵便局に備えられ、利用されている。
鉄道の主要駅や案内所などには、その地の風物を描いたスタンプがあり、神社仏閣にも参詣(さんけい)、観光を兼ねた朱印やスタンプがあり、旅行の思い出をつくる記念スタンプとなっている。
[今井 修]