スイレン(睡蓮)(読み)スイレン(英語表記)Nymphaea; water lily

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スイレン(睡蓮)」の意味・わかりやすい解説

スイレン(睡蓮)
スイレン
Nymphaea; water lily

スイレン科の水生多年草の1属。世界の熱帯から温帯にかけて約 50種が知られる。このうち特に東アジアと北アメリカに分布し,日本でも高冷地の池沼に自生するヒツジグサを単にスイレンという場合もある。ヒツジグサは日本唯一の自生のスイレンである。また熱帯アメリカ,エジプト,北アフリカ,熱帯アフリカなどの原産の大型で美花をつける種類を熱帯スイレンと呼んで温室水槽などで栽培する。主要な種類にはニオイヒツジグサ N. odorata (北アメリカ産,白色花) ,オトコスイレン N. marliacea (交雑種,黄色花) ,アフリカスイレン N. capensis (南アフリカ産,青色花) ,ベニバナスイレン N. rubra (インド産,赤色花) などがあり,これらをもとに改良された園芸品種は非常に多い。昼咲き種と夜間に咲くものとがある。

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百科事典マイペディア 「スイレン(睡蓮)」の意味・わかりやすい解説

スイレン(睡蓮)【スイレン】

温〜熱帯に広く分布するスイレン科の多年生水草。普通にみられる園芸品はいろいろの原種を交雑,改良したもの。耐寒性と熱帯性(熱帯スイレン)に大別前者根茎後者球茎が泥中にあり,長い葉柄の先についた切れ込みのあるまるい葉を水面に浮かべる。花柄の先に1花をつけるが,花は耐寒性のものは水面に浮かび,熱帯スイレンは水面から30〜40cmぬき出て咲く。朝開き午後閉じる性質があり,夜咲きのものもある。花色は白・黄・紫・青・赤・桃色等。日本各地に自生するヒツジグサは耐寒性の野生種の一つで,7〜10月,径3〜5cmの白い花を開き,葉には褐色の斑がある。それとメキシコ産の野生種との交雑品に淡黄色の小さな花のヒメスイレンがあり,観賞用に水盤に栽培される。

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