スイセン(水仙)
スイセン
Narcissus; narcissus; daffodil
ヒガンバナ科のスイセン属全体をさす名であるが,狭い意味では日本の暖地海岸などに野生化しているニホンズイセン N. tazetta var. chinensisをさして使われる。この母種はカナリア諸島の原産といわれ,ヨーロッパを経て中国から日本に伝わった。古くから栽培され園芸品種も多い。地下の卵状球形の鱗茎から数枚の平らな線形の葉を出し,1~2月頃,葉間に高さ 20~30cmの直立する花茎を伸ばして数個の花を横向きにつける。白色の花被片は6枚で平開し,下部は長い筒状になる。花被の開く部分に濃黄色の杯形の副花冠がある。八重咲きのほか緑色花や淡黄色花の品種もある。スイセンの類にはこのほか南ヨーロッパ原産の多くの種類が数えられる。花が黄色のキズイセン N. jonquilla,花が大きく副花冠が太い円筒形のラッパズイセン N. pseudo-narcissus,副花冠の縁が紅色のクチベニズイセン N. poeticusなどがある。なお英語の narcissusは特にクチベニズイセン系を,daffodilはラッパズイセン系をさす名である。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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「スイセン(水仙)」の意味・わかりやすい解説
スイセン(水仙)【スイセン】
ヒガンバナ科の多年草。関東〜九州の海岸にはえるが,真の自生ではなく,古く中国から渡ってきたものと考えられている。黒い外皮に包まれた鱗茎から3〜5枚の扁平な針形,披針形の葉を根生し,その中心から高さ20〜40cmの花茎を伸ばす。花は11〜3月,径2〜3.5cmで芳香があり,花茎の先に単生または数花が散状につく。花被は白色で6裂し,中央に黄色のラッパ状あるいは杯状の副冠がある。ニホンズイセンともいわれる。スイセン属の野生種は約30種あり,おもに地中海沿岸に分布。古くから観賞用に栽培され,特に19世紀中頃からヨーロッパで盛んに改良された。園芸品種は豊富で,多くの野生種から交雑されたものであり,ラッパ・大杯・小杯・八重咲・ジョンキル・房咲・口紅等に大別されるが,品種によって花被,副冠の形や色が異なる。普通の栽培では早咲種は9月上旬,晩咲(おそざき)種は下旬に定植。正月の切花用種では夏球根を10℃に冷蔵したのち植え付けて年末に開花させる促成栽培が行われている。球根は葉が黄変するころ掘り上げ,秋まで乾燥貯蔵する。
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