ジョイント・ディグリー(読み)じょいんとでぃぐりー(英語表記)joint degree

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジョイント・ディグリー」の意味・わかりやすい解説

ジョイント・ディグリー
じょいんとでぃぐりー
joint degree

日本の大学が外国の大学と連携し、共同で開設した教育課程修了した学生に対して、複数の大学が共同で単一の学位ディグリー)を授与する制度。略称JD。日本語では共同学位という。ジョイント・ディグリー制度やジョイント・ディグリー・プログラムともよばれる。日本では法令上認められていなかったが、2014年(平成26)の「大学設置基準等の一部を改正する省令等の施行について」(平成26年11月14日付)で、一定要件を満たした大学については、連携する大学が連名形式の学位を授与することが公式に認められた。これにより、たとえば、理論型の教育に特徴をもつ大学と、フィールドを活用した教育に特徴をもつ大学が、互いの教育資源を提供し合いながら単一の教育課程を編成することが可能になった。このように、国内外の大学が共同で教育課程を編成する制度を、国際連携教育課程制度という。

 また、国際的に連携した複数の大学などのいずれかで、同等の学位にあたる教育課程を学生が修了し、それが連携する他の大学の卒業(修了)要件をも満たしている場合、各大学がそれぞれ学位を授与する制度を、ダブル・ディグリーdouble degree(略称DD)という。日本語では複数学位とよばれる。DDの利点としては、学生が一つの大学に在籍して教育課程を修了し学位を得たうえで、さらに新たな学位を得ようとした場合に、その期間や学習量、金銭的負担を軽減できることがあげられる。連携する各大学それぞれの教育カリキュラムにおいて、他大学と協働して相互の学位が授与できるようにカリキュラムの補完がなされたうえで実施される。

 名古屋大学では2015年度の秋から、オーストラリアのアデレード大学と提携し、国内で初めてJDを導入した。両大学では、大学院医学系研究科博士課程に共同の国際連携総合医学専攻を設け、提携相手校への1年以上の留学などを条件に、両大学で博士などの学位が取得できるようになった。2016年度以降には、東京医科歯科大学大学院をはじめとする複数の大学で、同制度が導入される予定である。

 なお、異なる国の大学どうしが教育連携関係を結ぶことについては、国際的に明確な合意はなされておらず、JDやDDの名称定義も統一されたものではない。また、日本でも、国内の一つの大学で同時に主専攻と副専攻を履修し、二つの学位が得られる制度をジョイント・ディグリーやダブル・ディグリー、ツイニング・プログラムなどとよぶところがあった。そのため、呼称混乱が少なからず生じており、定義や目的などに留意する必要がある。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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