ジョアン(2世)(読み)じょあん(英語表記)João Ⅱ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジョアン(2世)」の意味・わかりやすい解説

ジョアン(2世)
じょあん
João Ⅱ
(1455―1495)

ポルトガル王(在位1481~95)。アビス朝第4代の王で、完全王o Perfeitoともよばれる。父王アフォンソ5世の治世下に勢力伸張した貴族勢力を徹底的に弾圧して王権を強化し、1484年までにポルトガル絶対王制の基礎を築いた。また、エンリケ航海王子)によって推進された海外進出政策を継承し、82年にはギニア湾ミナに商館を設置して西アフリカの金取引を恒常化した。さらに、海路でインドに到達するために新航路の開拓に努めた。彼の命を受けてディアスは喜望峰迂回(うかい)に成功し、またコビリャンらはインドの香料に関する情報を収集した。コロンブスによる新大陸「発見」により、スペインとの間にトルデシリャス条約が結ばれ、1494年に両国の間での世界分割を行った。

[金七紀男]

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旺文社世界史事典 三訂版 「ジョアン(2世)」の解説

ジョアン(2世)
João Ⅱ

1455〜95
ポルトガル王(在位1481〜95)
王権の伸張を意図し,強大化していた貴族勢力の削減につとめ,絶対王政の基礎を固めて「完全王(O principe perfecto)」と呼ばれた。エンリケ航海王子事業を引き継ぎ,アフリカ西岸の探検を推進。在位中,バルトロメウ=ディアスが喜望峰に到達(1488)し,また1494年にトルデシリャス条約をスペインと結んだ。

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