ジュース(英語表記)juice

翻訳|juice

精選版 日本国語大辞典 「ジュース」の意味・読み・例文・類語

ジュース

〘名〙 (juice)
① 果物や野菜のしぼり汁。また、それを加工した飲み物。
※斜陽(1947)〈太宰治〉五「お蜜柑のジュースも、口が荒れて、しみて、飲めない」
② 肉汁。また、調理の過程で出る、肉・野菜類などから出る汁の混ざったもの。
※食道楽‐冬(1904)〈村井弦斎〉三五三「五分間毎(ごと)に抽出(ひきだ)してテンパンの中のジュースを肉の上へかけなければなりません」

ジュース

〘名〙 (deuce) テニス、バレーボール、卓球などで、あと一点得点すればそのセットあるいはゲームがきまるとき、双方が同点になること。その後はどちらかの一方が続けて二度得点すれば勝ちとなる。〔外来語辞典(1914)〕

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デジタル大辞泉 「ジュース」の意味・読み・例文・類語

ジュース(deuce)

《「デュース」とも》テニス・卓球・バレーボールなどで、ゲームやセットに勝つために必要な得点より1ポイント少なくて双方が同点の状態。一方が2ポイント連取すれば勝敗が決まる。

ジュース(juice)

果物や野菜の絞り汁。果汁。また、それを薄めて砂糖などを加えた清涼飲料水。食品の表示基準では果汁100パーセントのものをいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「ジュース」の意味・わかりやすい解説

ジュース
juice

果実や野菜のしぼり汁,およびそれを加工した飲料。日本では1894年ごろ和歌山県でミカンの搾汁を〈蜜柑水(みかんすい)〉と称して売り出したのが企業生産のはじめとされ,その後も散発的にこの種の果汁飲料が製造発売されたが,製品に欠点があり,広く普及するには至らなかった。1938年,アメリカでフランク・バヤリーが真空缶を用いる瞬間殺菌法を開発し,それまで行われていた加熱殺菌による変色やビタミンCの破壊などを防止しうるようになって,ジュースの工業生産は本格化した。その後,このバヤリーの特許をゼネラル・フーズが買収,日本では第2次大戦後の51年,朝日麦酒が〈バヤリースオレンジ〉を発売した。この商品は爆発的な人気を博し,他社もこれに追随して同種の瓶詰製品を発売,続いて水で希釈,あるいは溶解して飲用する濃厚ジュース(コンクジュース)や粉末ジュースも登場してジュースブームを現出した。60年代後半になって俗に〈噓(うそ)つきジュース〉といわれる不当表示が問題化した。合成香料,人工着色料,乳化剤といったもののみを原料とし,天然の果汁をほとんど含まぬようなものがあったためで,これを契機として果実飲料の表示についての公正競争規約がつくられ,ジュースと呼称できるのは天然果汁のみということになった。ここでいう天然果汁は濃縮したもの,またそれをもとの状態に還元したものも含まれる。現在JAS(日本農林規格)では一般にジュース類と呼ぶものを以下のように分類する。すなわち,果汁の含有量50%以上のものを〈果汁飲料〉,10~50%のものを〈果汁入り清涼飲料〉,果汁に乳や乳製品などを加えたものを〈混合果実飲料〉,果実ピューレ(果実を破砕して裏ごししたもの),あるいはそれに果汁を加えたものを〈果肉飲料〉,果実を細切りしたものを果汁に加えたものを〈果粒入り果実飲料〉と呼ぶ。なお,これらのジュース類は60年代以降瓶詰から缶詰,さらに紙箱詰と包装形態が多様になっているが,自動販売機の普及に比例して,いわゆる〈缶ジュース〉の空缶処理が社会問題にもなっている。
執筆者:

ジュース
Eduard Suess
生没年:1831-1914

オーストリアの地質学者。スエスとも読まれる。商人の子としてロンドンに生まれ,幼時家族とともにウィーンに帰る。英才教育をうけ,若くしてギムナジウムに入る。1848年17歳のとき革命運動に参加する。次いでプラハ大学で地質学・古生物学を学ぶ。ウィーンに戻り,52年に王宮博物館の助手,57年ウィーン大学の地質学員外教授,次いで同大学正教授(1857-1901)となった。67年ウィーン学士会員,69年ニーダーエスタライヒ州の州議会議員,73年には下院の国会議員となる。94年イギリスのローヤル・ソサエティの外国人会員に選ばれ,コプリー・メダルCopley medalを受賞。博物館勤務時代には腕足類,頭足類など古生物を研究,古生物学,層序学の研究からしだいに山脈の形成に注目するようになり,ウィーン大学に転じてから《アルプスの形成》(1875)や《地球の相貌》(1885-1909)などを著す。前者では地球収縮説をもとに,アルプスの形成過程を論じた。後者は大陸,海洋,山脈の形成と変遷を論じたものでゴンドワナ大陸やテチス海の名や地殻構成に関するシアルsial,シマsimaの分類など多くの術語を提唱した。彼は地質時代の全地球的な海の拡大・縮小を明らかにし,その原因を地殻の上昇・下降と考えた。後世の地球科学の分野に与えたその影響は大きい。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「ジュース」の意味・わかりやすい解説

ジュース

果実や野菜をしぼった液で,飲料とするほか,菓子や料理材料とする。果実としてはオレンジ,リンゴ,ブドウ,イチゴ,パイナップルなど,野菜ではトマト,ニンジンなどで,キャベツ,パセリなど青野菜のものはグリーンジュース(青汁)と呼ばれて高血圧,便秘,胃潰瘍(かいよう)などに効があるとされる。ジューサー,ミキサーなどを用いて作る生ジュースと,甘味,香味,ビタミンC,炭酸などを加え,びんや缶に詰め殺菌した市販のジュースがある。日本では1951年朝日麦酒が〈バヤリースオレンジ〉を発売したのを皮切りに様々な製品が作られ,薄めて飲む濃縮ジュース(コンク)や,水に溶かして飲む粉末ジュース,天然果汁を全く含まぬ合成品なども現れた。現在では天然果汁のみをジュースと呼称することになっており,JAS(日本農林規格)では果汁含有量50%以上のものを〈果汁飲料〉,10〜50%のものを〈果汁入り清涼飲料〉,果汁に乳製品などを加えたものを〈混合果実飲料〉などと分類している。

ジュース

オーストリアの地質学者。ロンドン生れ。ウィーン大学教授。1875年の論文《アルプスの起源》で,地球の温度が低下するにつれて収縮が起こり,地殻に横圧力が生じ,それによって褶曲(しゅうきょく)山脈が生じると主張(収縮説)。3巻の大著《地球の顔》では,それを発展させて全世界的な規模での地質構造論を展開。ウィーン学士院院長,オーストリア下院議員を務め,万国地質学会議の創設に重要な役割を果たした。
→関連項目シアル

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジュース」の意味・わかりやすい解説

ジュース
Suess, Eduard

[生]1831.8.20. ロンドン
[没]1914.4.26. ウィーン
オーストリアの地質学者,古生物学者。商人の家に生れ,プラハ,ウィーン両大学で古生物学,地質学を学ぶ。ウィーン帝室博物館助手 (1852) を経て,ウィーン大学地質学教授 (57~1901) 。下院議員 (1869) 。古生物の研究から,構造地質学に移り,1875年アルプス山脈の形成に関して地球収縮説に基づいて,収縮に伴う横圧力による褶曲山脈成因論を提唱。また古代の大陸すなわちゴンドワナ大陸の存在の仮定,海洋の変動,マグマの上昇などに関する大規模な理論を展開,特に主著『地球の表面』 Antlitz der Erde (83~88) におけるテチス海の提唱は有名。日本の地質構造,成因も考察しており,日本の地質学に与えた影響は大きい。

ジュース
juice

果実をしぼった液汁。 JASの果汁規格によれば,天然果汁含有率 100%のものだけをジュースと表示し,50%以上を果汁飲料,10~50%のものを果汁入り清涼飲料と呼ぶ。

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飲み物がわかる辞典 「ジュース」の解説

ジュース【juice】


果物や野菜のしぼり汁。また、これを薄めたり、加糖したりして作った清涼飲料水。

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栄養・生化学辞典 「ジュース」の解説

ジュース

 →果汁

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世界大百科事典(旧版)内のジュースの言及

【温泉】より

…この分離された水が処女水である。チェコスロバキアの有名な温泉カルロビ・バリ(旧名カールスバート)温泉の起源について,オーストリアの地質学者E.ジュースは処女水説を主張した(1902)。この地域の降水量に対してカルロビ・バリ温泉の湧出量が著しく多いこと,温泉に含まれる炭酸物質や塩化ナトリウムなどの起源は地下深所のマグマに求めるべきであるというのが理由である。…

※「ジュース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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