ジュラ(読み)じゅら(英語表記)Jura

精選版 日本国語大辞典 「ジュラ」の意味・読み・例文・類語

ジュラ

[1] (Jura) ヨーロッパ中部の山脈フランススイス国境から、ドイツ南部にまたがる。中生代ジュラ紀層の石灰岩砂岩を主とする褶曲(しゅうきょく)山脈。最高峰はクレ‐ド‐ラ‐ネージュ(一七二三メートル)。
[2] 〘名〙 「ジュラき(━紀)」または「ジュラけい(━系)」の略。
※春と修羅(1924)〈宮沢賢治小岩井農場「いま日を横ぎる黒雲は 侏羅や白堊のまっくらな森林なか

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デジタル大辞泉 「ジュラ」の意味・読み・例文・類語

ジュラ(Jura)

フランス・スイス国境に沿って伸びる石灰岩褶曲しゅうきょく山脈アルプス造山運動によって生じた。ユラ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュラ」の意味・わかりやすい解説

ジュラ
じゅら
Jura

スイスとフランスにまたがる、ジュラ山脈を含む地域。スイスでは1978年の国民投票で23番目の州として独立を決定(1979年1月発足)したジュラ州をはじめ、ボー、ヌーシャテルベルンゾーロトゥルンバーゼルアールガウシャフハウゼンの諸州にまたがり、フランスではジュラ県のほかにアン、ドゥーの両県が含まれる。年降水量は1500ミリメートル以上で、高所では2000ミリメートルを超すことから、ジュラの語源の示すように「森林の多い山地」で、低所にはシデ・ナラ林、その上にはブナ・モミ林がみられる。1400~1500メートルの森林限界より上方の草地は夏の放牧地である。谷底を除けば農業の中心は牧畜である。泥灰質に富む石灰岩の部分は農耕地と刈草牧草地、透水性のある石灰岩の部分は放牧地、石灰岩の固い突出部は森林となり、土地利用と土壌の性質の間には密接な関係がある。これと並び、この地方の原料と水力電気に依存して、製材・製紙、セメント、製鉄などの工場が立地し、金属工業を基盤に早くから武器、塔時計の精密機械がおこった伝統が、現在の時計工業へと引き継がれている。この地方はスイスの時計工業の中心地で、ラ・ショー・ド・フォン、ビール、ル・ロクル、ヌーシャテルなどが重要な生産地である。

 なお1979年に発足したスイスのジュラ州はフランス語圏で、1815年のウィーン会議以来ドイツ語圏のベルン州に編入されていた。1960~70年代に激しい分離運動が行われ、78年の投票で州としての独立が決定したが、これはカトリック系住民の多い北部地方だけで、プロテスタント系の多い南部地方はベルン州内にとどまった。

[前島郁雄]

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