ジュコーフスキー(英語表記)Vasilii Andreevich Zhukovskii

精選版 日本国語大辞典 「ジュコーフスキー」の意味・読み・例文・類語

ジュコーフスキー

[一] (Nikolaj Jegorovič Žukovskij ニコライ=エゴロビチ━) ロシア物理学者モスクワ大学教授。流体力学航空力学をうち立て、中央航空力学研究所を創立した。(一八四七‐一九二一
[二] (Vasilij Andrjejevič Žukovskij ワシリイ=アンドレービチ━) ロシアの詩人。ロシア‐ロマン派の代表者バラード哀詩などをつくり、外国文学を翻訳紹介した。代表作「リュドミーラ」「スベトラーナ」など。(一七八三‐一八五二

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デジタル大辞泉 「ジュコーフスキー」の意味・読み・例文・類語

ジュコーフスキー(Vasiliy Andreevich Zhukovskiy)

[1783~1852]ロシアの詩人。ロシア‐ロマン主義の代表者の一人で、西欧の詩の翻訳紹介などで有名。作「リュドミーラ」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「ジュコーフスキー」の意味・わかりやすい解説

ジュコーフスキー
Vasilii Andreevich Zhukovskii
生没年:1783-1852

ロシアの詩人。トルコ捕虜として連れて来られた女性と地主貴族との間に生まれた。モスクワ大学の貴族寄宿学校ですぐれた教育を受け,多くの友人を得,またフリーメーソンの神秘思想の影響を受けた。1802年T.グレーの《墓畔哀歌》の翻訳で文名をあげ,カラムジン派センチメンタリズム(主情主義)の詩人として世に出た。15年以降,詩的革新を目指すアルザマス会の一員として,ロマン主義の中心的詩人となった。のち,皇帝ニコライ1世,その皇太子(のちのアレクサンドル2世)の傅育官(ふいくかん)となり,皇帝の心をやわらげ,作家たち(プーシキンゴーゴリシェフチェンコなど)を過酷な運命から救った。ロマンティックな異国趣味や夢,幻想,伝説の世界を〈喜ばしい甘美さ〉(プーシキン)で歌い上げたジュコーフスキーの詩は,プーシキンをはじめとする当時の詩人たちに大きな影響を与えた。40年以降主としてドイツに住み,58歳でドイツ人の画家の娘と結婚,ティークゲーテとも親交を結んだ。彼の主要作品はほとんど翻訳であるが,ビュルガーの《レオノーレ序曲》の翻案(1808-12)やバイロンの《シオンの囚人》(1821-22)のように,原作にまさる価値ありとみなされるものが多い。
執筆者:

ジュコーフスキー
Nikolai Egorovich Zhukovskii
生没年:1847-1921

ロシア~ソ連の物理学者。モスクワ大学で物理学と数学を学び,1868年卒業。モスクワ工業大学で数学や力学を教えるかたわら,流体の運動学を研究し,解析的方法と同様に幾何学的方法を広範囲に使用して,流れの中の粒子の運動法則を確立した。82年には,運動の安定性の研究でモスクワ大学から博士号を得た。また均質な流体をその内部に含む固体の運動についての理論研究は,惑星の回転の法則に関する天文学の諸問題や,流体のコアをもつような投射物の弾道学の諸問題を解く手段を与える重要なものであった。1880年代末からは,空気より重い物体の飛行に関心を向け,揚力の理論的解明に深くかかわることになった。自分自身で行った実験と理論研究に基づいて,1911年にモスクワ工業大学で航空学の理論的基礎に関する講義をしたが,それは世界最初の飛行理論の体系的講義といわれた。彼は革命後もソ連における流体力学,気体力学,飛行力学などの指導的立場にあり,中央航空力学研究所の創立などに尽力した。
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百科事典マイペディア 「ジュコーフスキー」の意味・わかりやすい解説

ジュコーフスキー

ロシア,ソ連の物理学者。モスクワ大学卒業後,パリに学び,1886年モスクワ大学教授。航空機の翼の揚力の理論など航空力学,流体力学に業績が大きい。1891年ロシア最初の風胴を製作,1918年にはツポレフらと中央航空力学研究所を創立した。

ジュコーフスキー

ロシアの詩人。地方地主とトルコの女捕虜の間に生まれる。憂愁をたたえた心情を表白したロシア最初の本格的抒情詩人として知られ,ロマン主義的バラード《リュドミーラ》(1808年)などが有名。英・独文学の翻訳にも秀でる。

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367日誕生日大事典 「ジュコーフスキー」の解説

ジュコーフスキー

生年月日:1847年1月17日
ソ連邦の物理学者
1921年没

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