ジムヌラ(英語表記)gymnura
moon rat
Echinosorex gymnurus

改訂新版 世界大百科事典 「ジムヌラ」の意味・わかりやすい解説

ジムヌラ
gymnura
moon rat
Echinosorex gymnurus

マレー半島ボルネオスマトラにすむ食虫目ハリネズミ科の哺乳類。一見ネズミに似るが,鼻(吻(ふん))がとがり,目は小さく,荒い長毛に覆われている。黒色の地に,頭,肩に白斑がある。目の周囲の毛は黒色。長い尾はほとんど無毛で,うろこが見え,先半分ないし1/3は白色。食虫類としては最大の種の一つで,体長26~46cm,尾長16.5~30cmある。体重0.5~2kg。森林,マングローブ林,ゴム園,耕地などの水辺近くに好んですみ,木の洞,岩の隙間などに巣をつくる。夜行性で,ミミズカタツムリ,節足動物などをおもに地上であさり,ときに水に入って魚,カエルを捕食する。同じ種の仲間に対しては攻撃的で,自分の巣の入口を肛門腺のくさい分泌物で標識して,ふつう単独生活を送る。繁殖一年中行われ,雌は年に2回,ふつう1産2子を生む。妊娠期間は35~40日。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジムヌラ」の意味・わかりやすい解説

ジムヌラ
じむぬら
gymnura
moonrat
[学] Echinosorex gymnurus

哺乳(ほにゅう)綱食虫目ハリネズミ科の動物。マレー半島、スマトラ島ボルネオ島に分布する。頭胴長26~45センチメートル、尾長20~24センチメートルで、最大の食虫類。赤道付近のものがもっとも大形である。体は横幅が狭く、尾は毛が少なく、鱗(うろこ)で覆われている。毛は柔らかい下毛と長くて粗い上毛からなる。耳は小さい。口は大きく、その周辺とのどおよび額が白く、目先から頭頂、背にかけて黒線がある。そのほかの部分は暗色。歯式は

で44本。熱帯雨林や耕地周辺にすみ、自分で穴を掘ることはなく、日中は物陰に隠れていて、夜活動する。カエル、魚、カニ、貝、昆虫などを食べる。体に悪臭がある。年じゅう繁殖可能で1産平均2子である。

[阿部 永]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジムヌラ」の意味・わかりやすい解説

ジムヌラ
Echinosorex gymnura; common gymnure; moonrat

食虫目ハリネズミ科。ナミハリネズミに近縁であるが,体には針状の毛がなく,外形はむしろジネズミに似る。体長 27~35cm,尾長 21cm。吻は長くとがり,耳介は小さい。体上面の前半は茶を帯びた白色,後半は黒色で,眼から頭頂にかけて黒色帯がある。熱帯雨林にすみ,日中は大木の下や石の下などにひそみ,夜間地上に現れてシロアリ,ゴキブリなどの昆虫類を食べる。タイからマレー半島,スマトラ島,ボルネオ島に分布する。

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