ジェラム川(読み)じぇらむがわ(英語表記)Jhelum

改訂新版 世界大百科事典 「ジェラム川」の意味・わかりやすい解説

ジェラム[川]
Jhelum River

インド亜大陸北西部,パンジャーブ五川の一つ。カシミールのピル・パンジャール山脈東端に発し,カシミール谷を北西流してから同山脈を横断し,さらにパキスタン・パンジャーブ平原西部を南西流してチェナーブ川に合流する。全長約770km。冬季の流水量は少ない。1960年のインダス川水利条約により同川の水利権はパキスタンに帰属することになり,この川が山岳地帯を離れるマングラにマングラ・ダム(1967完成。ダム高116m)が建設され,連絡水路によりパキスタンが水利権を失ったラービー,サトレジ両川に補水している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジェラム川」の意味・わかりやすい解説

ジェラム川
じぇらむがわ
Jhelum

パキスタン北部、パンジャーブ地方を流れ、インダス川五大支流のうち、もっとも西を流れる川。インド、ジャム・カシミール州のピール・パンジャル山脈にあるバニハル峠を源とし、北西へ流れてカシミール盆地内の全流域をあわせ、スリナガル、ウーラー湖を経て、バラムラ付近からピール・パンジャル山脈を深く切り込む。パキスタン側のムザファラバードで南に大きく流路をかえ、ジェラムから南西に流れてパンジャーブ平原に達し、チェナブ川に合流する。全長約770キロメートル、流域面積3万2200平方キロメートル。下流にはジェラム運河があり流域の灌漑(かんがい)が行われている。紀元前326年アレクサンドロス大王がこの川を渡り、インド軍と戦った。

[林 正久]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android