シンガー(Isaac Merrit Singer)(読み)しんがー(英語表記)Isaac Merrit Singer

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シンガー(Isaac Merrit Singer)
しんがー
Isaac Merrit Singer
(1811―1875)

家庭用ミシンの実用化と月賦販売による普及に成功した企業家。アメリカのニューヨーク州に生まれる。若くして家を出て、約16年渡り職人として各地を放浪し続ける。1851年ボストンの工場で修理に持ち込まれた一種のミシンを見てその基本原理を知り、さらに改良を加え、鋸歯(きょし)状の布自動送り装置を備えたミシンの特許をとる。すでに特許を得ているE・ハウのものと比べて多くの機能を備えた最初の本格的ミシンであった。1851年エドワード・クラークEdward Clark(1811―1882)と共同でI・M・シンガー社を設立、1860年には世界最大のミシン会社となる。1854年にミシンの基本特許をもつハウに特許侵害で訴えられ敗訴するが、使用料を支払うことで決着した。彼の工場は互換性部品による大量生産方式をとり、販売には割賦制度を導入するなど、生産、販売の両面新機軸を開いた。

篠原 昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android