シワハイルカ(英語表記)Steno bredanensis; rough-toothed dolphin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シワハイルカ」の意味・わかりやすい解説

シワハイルカ
Steno bredanensis; rough-toothed dolphin

クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科シワハイルカ属。体長は約 2.8m,体重は約 150kgに達する。体色は茶褐色または黒色である。腹部下面の白斑は境界が不明瞭で位置や形には個体差がみられる。また体表に白色,淡桜色,象牙色などの斑点があるが,これらは原生動物バクテリア寄生による傷痕である。噴気孔は1個で頭部正中線上にある。嘴 (くちばし) は細長いが,前頭部との間に境目がなく,頭部から吻端までの傾斜はきわめてなめらかである。背鰭 (せびれ) は体の中央に位置し,長大で,幅の広い三角形状を呈し,先端はあまりとがらず,前縁がやや後方に傾き後縁は鎌状である。上下顎骨に細かい縦皺の入った円錐歯が左右 20~27対ある。通常 10~20頭の群れで行動するが,100頭をこえる大群をなすこともある。イカ類や魚類を捕食する。シイラなどの大型魚類も食べることが知られている。分布は熱帯から亜熱帯の深海大洋域であるが,まれに北緯 40゜以北,南緯 35゜以南に出現する。太平洋東部の熱帯海域におけるマグロ巾着網で混獲される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シワハイルカ」の意味・わかりやすい解説

シワハイルカ
しわはいるか / 皺歯海豚
rough-toothed dolphin
[学] Steno bredanensis

哺乳(ほにゅう)綱クジラ目マイルカ科に属するハクジラ。最大体長が約2.8メートルの小形種。体形は普通のイルカ形であるが、吻(ふん)が細長く、吻と前頭部の高まりとの間に段刻がない。比較的大きな歯が各列二十数本生えているが、その歯冠部に縮緬(ちりめん)じわ状の細かい縦じわがあり、この名がつけられた。本州以南を含む世界の温暖海域にみられ、ときに数百頭の大群をなすことがある。

西脇昌治


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